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2023年10月31日

【ブック&コラム】『江戸の格付事情』

職業と階層秩序の機微を知る

c2309_2.jpg監修・安藤 優一郎
エムディエヌコーポレーション、定価980円(税込)


 『江戸の給与明細』に続くシリーズ企画。乱世ではなく社会が安定していた江戸時代に着目したところが、現代の様相と少し重なり興味を引く。

 江戸時代は基本的に固定化された身分制度だったが(その点では格差社会)、個別で見ると柔軟な上下移動もあったと本書は明かす。御家人が能力を発揮して上級職に就けば、職格に相応しい旗本に格上げされるケース(一種の等級処遇)もあったとされる。あるいは、旗本・御家人に仕える用人の場合は、功績が評判となって他家へ引き抜かれたり(ヘッドハンティング)、豪農・豪商が御家人株・旗本株を買ったりする事例も見られたと解説している。

 武士以外では、公家、医師、学者、絵師、役者、力士、商家、遊女、職人、火消しといった専門職の事情も取り上げる。また、当時流行した「見立番付」といわれる刷り物(出版物)を資料に、相撲番付に模した様々な分野のランキングを分析。大名・幕臣から町人まで、各分野の組織的特徴と同時に、秩序の仕組みとそれを維持する運用の知恵が垣間見られ、勉強になる。


(久島豊樹/HRM Magazine より)

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