厚生労働省が3日に発表した8月の有効求人倍率(季節調整値)は前月比0.02ポイント低下の1.20倍となり、再び低下した。4月の1.26倍から低下傾向が続き、6月からは22年初当時の水準まで下がっている。人件費上昇などで求人を控える企業が増える一方、高齢化などによって求職者も減るという労働市場の縮小傾向が続いているため。また、ハローワークの仲介機能が弱くなり、労働市場の需給関係を十分反映しなくなっていることも一因とみられる。
企業側の有効求人数約225万人(原数値、前年同月比3.6%減)に対して、有効求職者数も約190万人(同0.3%減)といずれも減少。都道府県別(就業地別)の倍率は福井県の1.86倍が最高で、最低は大阪府と神奈川県の1.01倍だった。
先行指標の新規求人倍率は、前月比0.02ポイント低下の2.15倍。新規求人数(原数値)は前年同月比6.2%の大幅減少。産業別で大きく減ったのは「生活関連サービス、娯楽業」の同16.1%減、「卸売・小売業」の同12.7%減、「宿泊業、飲食サービス業」の同10.7%減など、全11産業でマイナスとなった。
また、正社員の有効求人倍率(季節調整値)も前月比0.02ポイント低下の1.00倍だった。
8月完全失業率、一転して2.6%に上昇
総務省が3日発表した8月の就業者数は約6835万人で、前年同月比20万人増と37カ月連続の増加。完全失業者は同7万人増の約182万人と13カ月ぶりに増えた。この結果、完全失業率(季節調整値)は前月比0.3ポイント上昇の2.6%となった。これは24年7月と同水準で、人手不足感が"一服"した形だ。
男女別では男性が2.8%、女性が2.3%で、男性は前月比0.3ポイント、女性も同0.1ポイント上昇した。
完全失業者182万人のうち、「勤務先都合」による離職は約25万人(同2万人増)に増え、「自己都合」離職も約80万人(同6万人増)に増えた。この結果、「新たに求職」は約47万人(同2万人減)に減った。
一方、形態別雇用者数では役員を除く雇用者5822万人のうち、正規従業員は3711万人(前年同月比52万人増)で22カ月連続の増加。非正規従業員は2111万人(同16万人減)と8カ月ぶりに減り、非正規比率は36.3%(同0.5ポイント減)となった。
非正規の内訳はパートが1020万人(同24万人減)、アルバイトが479万人(同6万人増)、契約が284万人(同14万人増)、派遣が148万人(同水準)、嘱託が107万人(同2万人減)となり、7月と同様にパートの減少をアルバイトなどの増加で"補う"形となった。