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2016年7月25日

政府の「介護離職ゼロ」政策拡充

「とにかく、仕事を辞めないで」

 政府が掲げる「介護離職ゼロ」目標に向けて育児・介護休業法や雇用保険法などの関連法が改正され、それに付随する厚生労働省令なども改正された。来年1月からの施行(一部は今年8月施行)に向けて、厚労省は企業などに対して制度改正の周知を図るが、改正の趣旨がどこまで浸透して、使い勝手が向上するかどうかがカギとなりそうだ。(報道局)

 介護関連の改正の柱は(1)介護休業の取得上限日数(93日)を、現行の1回から3回まで分割取得できる(2)休業時に雇用保険から支払われる給付金を現行の40%から67%に引き上げる(3)雇用保険の新規加入年齢を64歳までにしていた制限を撤廃し、65歳以上も加入できる。

 (1) と(2)によって、例えば両親の介護が必要な人は、現行では父母のそれぞれに最大93日休めたが、新制度では父母のそれぞれに3回ずつ、合計で最大6回分割取得することも可能になり、その間の給付額も40%から67%に上がる。

 介護は育児に比べると先行きの見通しが困難で、仕事の都合や自宅介護と施設介護の見極めといった状況を考慮すると、従来の1回だけの取得では使い勝手が悪かった。(3)はいわゆる「老々介護」に向けた措置で、介護する側の会社員らが仕事を続けていれば給付を受けやすくなる。

 このほか、年5日までの取得が可能な介護休暇についても、現行の取得単位の1日から半日単位に“分割”された。通院の付き添いやケアマネジャーらとの打ち合わせなどでは、必ずしも1日が必要とは限らないため。

 また、介護休業の取得にあたり、介護の対象となる家族の状態も省令改正によって要件が緩和された。現行は介護保険で定める要介護2~3程度以上だが、改正後は要介護1程度でも、一定の要件を満たせば対象になる。また、対象が祖父母や兄弟姉妹といった場合、現行では「同居・扶養」が条件になっているが、これを外して遠方に住む祖父母らでも取得できるようにした。

8割以上が制度利用なし

 こうしたキメ細かい改正が必要になったのは、毎年7~9万人が介護離職を余儀なくされ、生活が不安定になる会社員らが増えているためだ。企業側にとっても、中核的な仕事をしているベテラン社員の退職は大きな損失になることから、離職防止に前向きな姿勢に転じたことが背景にある。

is160725.png 一連の制度改正は「仕事を辞めない」という目的に向けた条件整備だが、現行では介護をしている約240万人のうち、介護休業などの制度利用者は38万人弱の15.7%(12年度)に過ぎず、80%以上は制度を利用していない=表

 改正について議論した労働政策審議会では、「長期介護の必要な人にとっては、3回の分割取得でも少ない」「介護休業でも育児休業並みに社会保険料の納付を免除すべきだ」といった意見が出たが、今後の“宿題”となった。

 厚労省は「制度の使い勝手が格段に向上したことを経営者や労働者に理解してもらえれば、介護離職を大幅に防げるはず」として、来年1月の施行までに周知徹底を図る方針だ。

 

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