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2017年4月13日

「ジョブ型正社員」ルール化に労使とも否定的  規制改革推進会議の公開討論会

 政府の規制改革推進会議(大田弘子議長)は13日、都内で「ジョブ型正社員の雇用ルールの確立」をテーマに公開ディスカッションを開いた。安念潤司・人材ワーキンググループ座長らの同会議委員と経団連の輪島忍氏、連合の安永貴夫氏、日大の安藤至大准教授、厚生労働省の岸本武史・派遣・有期労働対策部課長らが出席した=写真

n170413.JPG ジョブ型正社員は、日本の労働市場が正社員と非正規社員に二極化、硬直化している現状を打破する中間的な就労形態として、同会議が早くから提唱し、採用する企業も増えている。しかし、法的な裏付けに乏しいことから、同会議は(1)労働条件の明示のルール化(2)正規とジョブ型の相互転換ルール(3)転換後に不利益にならないためのルール作り――の3点が不可欠としている。 
 
 労働条件の明示化については、労働基準法第15条で企業が労働者に対して賃金、労働時間など「主要な労働条件」を書面で明示することが義務付けられており、2014年には多様な正社員に関連して厚労省から「雇用管理上の留意事項」という形で通達が出ているものの、罰則付きの正式な法律にはなっていない。

 これについて、労使ともに「まずは留意事項など現行制度の周知徹底が必要」「日本型雇用慣行には良い部分もあり、トータルな議論が必要。企業の好事例などを広く知らせることも重要ではないか」といった認識であり、法整備を通じた新たなルール化には消極的な姿勢が目立った。また、監督官庁の厚労省も「留意事項を前提にして、そこから先は労使で議論すべきもの。法制化すると労使の議論が委縮するかもしれない」と述べ、あくまで「労使自治」に任せるべきだとの姿勢をにじませた。

 同会議側委員からは「就労者の9割以上は中小企業勤務であり、対経営者との力関係は圧倒的に弱い以上、現在の留意事項程度では不利になるに決まっている」「すべての労働者の利益を考えるべき連合までがルール化不要と考えていることには驚く」「法律で最低限のルールを作り、そこから労使の議論をスタートさせるべきではないか」といった意見が続出し、従来の行政・労使との考えの違いが際立つ結果となった。6月にも予定している報告書にはルール化の必要性を強調する内容が盛り込まれるとみられる。


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