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2016年2月22日

「就職、転職前の情報開示」で公開討論会、 情報過多?情報不足?、一律的縛りの難しさ浮き彫り 政府の規制改革会議

n160222_1.jpg 政府の規制改革推進室は22日、規制改革会議(岡素之議長)の「公開ディスカッション」を開いた=写真。テーマは「『多様な働き方を実現する規制改革』 就職、転職前の情報は十分か~良い職場選びのために~」で、大学全入時代を背景にした学生と企業のマッチングのあり方や、大企業と中小・零細企業の採用手法と時期、インターンシップの問題などで活発に議論。話題が集中した大学新卒に対しては、現状が「情報過多なのか、不足なのか」、一律的な縛りの難しさを浮き彫りにした。

 この日は、同会議が主要課題の柱に掲げる働き方改革の「入り口論」となる項目をテーマに据えた。委員のほか、各界の有識者や代表らを招いて議論。「企業の就職情報開示」を切り口に事務局を含め8人が登壇してプレゼンテーションした後、それを踏まえて討論を繰り広げた。

 登壇したのは、G&S Global Advisors Inc.の橘・フクシマ・咲江社長、ProFutureの寺澤康介社長、カルビーの松本晃会長兼CEO、日本商工会議所として小松ばね工業の小松万希子社長、連合・総合労働局の村上陽子局長、経団連・労働政策本部の遠藤和夫統括主幹、厚生労働省職業安定局派遣・有期労働対策部の坂口卓部長と同省大臣官房の吉本彰子審議官。それぞれの立場や知見、経験などから的確に課題と問題提起を行った。

 討論は、3月1日に施行される若者雇用促進法などの趣旨や内容を皮切りに、これらに関連する労働基準法と職業安定法の現状、インターンシップのあり方、学生視点の人気企業ランキングまたは、いわゆる「ブラック企業」公表の是非など、出席者が積極的に展開。そうした中で、採用募集時期のルールや事実上関連してくるインターンシップの活用についても、大企業と中小・零細企業では相違点があることや、大学全入時代において偏差値が幅広くなっている事実の言及もあり、建前論だけでなく一歩踏み込んだ有益な議論が交わされた。

n160222_2.jpg 最終的には、「企業の情報開示は当然。ウソを公表してはいけない」との総論に落ち着いたが、「優秀な人材を育て、引き抜きされてしまう企業の離職率」や「もともと女性の採用が少ない業種の女性幹部の割合」などが公表される場合の「数字の印象だけによる企業の評判」の怖さについては、問題提起にとどまり明確な打開策を見いだせなかった。加えて、大学新卒に対して「現状は情報過多なのか、不足なのか」といった点についても、発信者である企業と受け手である学生の特性や多様性を考えると、一律的な縛りにはプラス面とマイナス面が内在し、難しさを露呈する格好となった。

 また、討論の中では、民間企業だけでなく、公務員の採用情報や残業時間、さらには採用時期の真相などに“飛び火”する場面もあった。

 公開ディスカッションの様子は、リアルタイムで動画配信されており、同推進室は近く議事録や録画で周知する。終了後の記者会見=写真=には、(左から)佐々木かをり委員、岡議長、進行役を務めた長谷川幸洋委員が臨み、それぞれの感想を含めて総括。岡議長は「規制改革は緩和だけ、規制だけといった観点ではない。討論会で挙がった意見や課題を今後の規制改革会議の議論に有効に活かしていきたい」と述べた。

 

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