対話の本質は「対話すること」ではない
著者・小林 祐児
光文社、定価1078円(税込)
書名から、職場で役立つセリフ集のような解決策を期待するかもしれないが、本書の視座は高く、内容は学術的アプローチから外れない。
【講義篇】ではコミュニケーションが一方通行(伝える)から双方向(分かり合える)へ変質してきた背景を解説しつつ、そこで止まるから"対話疲れ"が起きると指摘。やり取りの即興要素による響き合いを経てイノベーションを創発させる関係まで概念を広げて、一段深い思考を促している。【実践篇】では、実際の職場へ展開する手法を丁寧に追い、「伝える=伝わった」だけで終わらせないコミュニケーションの可能性を5つの「教訓」に整理していく。組織開発のしかけ(場づくり・診断・介入・教育)を正攻法に位置づける一方、その限界も語り、「対話」そのものを目的にしない捉え方の転換を知恵の1つに挙げている。
「ブロック」や「論破」のような"切り捨て"が対話を雑で浅いものにしているという警告や、AIには真似のできない「沈黙の価値」への着眼など、安直なノウハウとは異次元の刺激が得られそう。
(久島豊樹/HRM Magazine より)






















