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2013年12月21日

【この1冊】『40歳からの会社に頼らない働き方』

転職に踏み出せないサラリーマンの皆様へ

c131221.jpg著者・柳川 範之
ちくま新書、定価720円+税

 

 著者が今年前半に出して話題を呼んだ『40歳定年制』(さくら舎)の姉妹編で、『40歳定年制』が日本の雇用制度改革を目指したのに対して、本書は現制度下でもスムーズに転職できるノウハウを詰めた個人向け指南書だ。

 ただ、ちまたにあふれている転職ノウハウ本と違い、「年収の増やし方」「自己PRの方法」といった、お手軽な内容は見当たらない。終身雇用が望めなくなってきた日本企業で働く多くのサラリーマンにとって、超高齢社会下で「人生二毛作」の花を咲かせるにはどんな発想が必要か、どんな準備をすればいいかを正面から解説している。

 その準備として、「能力の棚卸し」「バーチャルカンパニーの設立」などユニークな提案もあって、興味深く読める。タイトルは「40歳からの…」になっているが、30代から定年退職者まで、幅広い世代に共通のヒントが盛り込まれている。

 「定年=悠々自適の年金生活」を享受できた世代にはピンと来ない部分もありそうだが、団塊の世代以下には「一生会社を頼りにする時代は終わった」という著者の主張にはスンナリ溶け込める。『40歳定年制』と合わせて読むと、より客観的で冷静な判断ができるようになる。(のり)

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