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2014年10月25日

【この1冊】『定年後の起業術』

シニアに対する起業の勧めと実践論

c141025.png著者・津田 倫男
ちくま新書、定価760円+税

 

 著者は銀行やIT系ベンチャー企業に勤務した後、独立した企業アドバイザー。著者によれば、定年退職しても年金以外の収入を確保したいと考えるシニア(熟年・中高年)による起業が静かなブームだと言う。そこで、企業アドバイザーとしての経験を基に、シニア起業の実践論を説いたのが本書。

 具体的には、「日本でシニアが起業することの意味」(第1章)、「生き残るための三つのヒント」(第2章)、「シニア起業の有利性」(第3章)を概説した後、「シニア起業の実践術と注意点及び役立つ知恵」(第4、5章)を詳説している。

 本書の説明の大半は常識的なことであり、実際に起業しようとしている人には役立つかもしれないが、単に収入を増やしたいとか、他に就職先がないからといった理由ではなく、「どうしてもこの事業を起こしたいという切実な欲求がなければなりません」と言われてしまうと、「切実な欲求を持たない」大多数のシニアは起業を諦めなければならないことになる。

 つまり、本書は「安易に起業して失敗する」リスクを避けるために警鐘を鳴らしているのだ。シニアに限らず、起業を考えるすべての人に一読を勧めたい。 (酒)

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