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2018年11月13日

【書評&時事コラム】無断キャンセルの罪と罰

 間もなく忘年会・新年会シーズン。学生時代やかつての仕事仲間と一杯やることが増えたが、店の予約はインターネットのお陰で随分楽になった。店の種類、メニュー、価格など、すべてわかる。予約も希望日時を入力すれば、即座に可否が出る。一軒一軒、電話を掛けて交渉したころの手間はまったく掛からない。

c181113.JPG その手軽さの裏返しなのか、近年、予約側のドタキャンや無断キャンセルが増えており、店側は頭を痛めているそうだ。業界団体の推計によると、無断キャンセルは全予約の0.9%程度、損失額は年間2000億円になるという。そこで経済産業省が音頭を取って、飲食業の業界団体が無断キャンセルに対抗するキャンセル料請求指針なるものを発表した。無断キャンセルの場合、コース予約で全額、席予約で半額がメドになる。

 確かに、店側にすればドタキャンや無断キャンセル(英語で「No Show」と言うそうだが)はけしからん話。利用者も、行けなくなった時点で連絡するのが常識であり、とりわけ繁忙期などはそれが必要。それはわかるが、あくまでも利用者の常識に訴えるべきもので、店側の営業努力が必要になるだろう。

 少なくとも、役所がシャシャリ出る話ではなく、サービス業のIT化推進に向けた補助金事業を担当する経産省の陰謀ではないかとさえカン繰ってしまう。店側だって、ただでさえ消費者の節約志向が根強く、会社や家庭もケータリングや買い出しで済ます傾向にある昨今、「予約しにくい店」との印象を持たれたくはないはずだ。もちろん、一義的には利用者のモラルであり、私も気をつけます。(俊)

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