コラム記事一覧へ

2019年4月 4日

中宮伸二郎社労士の「労務の心得」14・勤務間インターバル

Q 36協定特別条項の健康福祉配慮措置として勤務間インターバルを導入する場合、インターバル時間の定めはあるのでしょうか。

nakamiya03.png インターバルの下限時間は規定されていません。各社の実情に合わせて無理のない範囲で規定してください。

 終業と始業の間に一定の休息時間を設ける勤務間インターバル制度は、EU労働時間指令では、24時間につき連続11時間の休息時間を設けることを義務付けていますが、わが国では労働時間等設定改善法で努力義務とし導入を推進しているところです。

 同時に2019年4月1日施行改正労基法に基づく36協定に特別条項を定める際に設けなければならない健康福祉確保措置の選択肢の一つとなっています。他の選択肢と比較して低コストで導入することができ、恒常的な過重労働が生じていない職場であれば実施に係る手間もなく特別条項の健康福祉確保措置としてお勧めです。

 インターバルの下限時間は定められていませんが、制度の実効性を考慮すると極端に短い時間では意味がありません。時間外労働等改善助成金の対象となる勤務間インターバルは9時間以上とされています。また、時間外労働の上限規制を遵守する目的で導入するのであれば、確実に時間外休日労働を複数月平均80時間以下とするためには、11時間とする必要があります。

※1日24時間―インターバル11時間-休憩1時間=12時間(法定超4時間)
 1か月所定労働日数20日の場合、20日×4時間=80時間

 慢性的な睡眠不足とパフォーマンスの低下に関する研究によると毎日4時間の睡眠が6日間継続すると1晩徹夜した時と同様のパフォーマンス低下がみられ、毎日6時間睡眠が10日間継続すると1晩徹夜した時と同様のパフォーマンス低下がみられることから、健康福祉確保措置としてだけではなく、生産性向上の手段としても導入を検討するべきではないでしょうか。

(中宮 伸二郎/社会保険労務士法人ユアサイド 代表社員)

PAGETOP