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2019年4月18日

中宮伸二郎社労士の「労務の心得」16・健康情報管理規程

Q 2019年4月1日施行の改正安全衛生法により、企業には健康情報の適正管理義務が課されますが、いわゆる健康情報管理規程を作成しなければならないのでしょうか。

nakamiya03.png 健康情報管理規程を作成すべきです。
 健康診断やストレスチェックの結果をはじめ様々な健康情報が企業内に存在することから、改正安全衛生法104条は以下の通り企業の管理責任を定めています。

1 事業者は、労働者の心身の状態に関する情報を収集し、保管し、又は使用するに当たっては、労働者の健康の確保に必要な範囲内で労働者の心身の状態に関する情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。ただし、本人の同意がある場合その他正当な事由がある場合は、この限りでない。

2 事業者は、労働者の心身の状態に関する情報を適正に管理するために必要な措置を講じなければならない

3 厚生労働大臣は、前二項の規定により事業者が講ずべき措置の適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。

 改正104条第2項で必要な措置を講じることを義務付け、第3項に基づく指針において健康情報管理規程で定めるべき事項を公表しました。これらのことから健康情報管理規程は作成しなければならないものと考えられます。企業規模による取り扱いの違いを定めていないことから50名未満の企業においても作成が必要です。

 健康情報管理規程に定めるべき事項として以下の9項目が挙げられています。

① 心身の状態の情報を取り扱う目的および取扱方法
② 心身の状態の情報を取り扱う者およびその権限ならびに取り扱う心身の状態の情報の範囲
③ 心身の状態の情報を取り扱う目的等の通知方法および本人同意の取得方法
④ 心身の状態の情報の適正管理の方法
⑤ 心身の状態の情報の開示、訂正等(追加および削除を含む)および使用停止等(消去および第三者への提供の停止を含む)の方法
⑥ 心身の状態の情報の第三者提供の方法
⑦ 事業承継、組織変更にともなう心身の状態の情報の引き継ぎに関する事項
⑧ 心身の状態の情報の取り扱いに関する苦情の処理
⑨ 取扱規程の労働者への周知の方法


(中宮 伸二郎/社会保険労務士法人ユアサイド 代表社員)

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