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2019年5月 9日

中宮伸二郎社労士の「労務の心得」19・農業・漁業分野への特定技能外国人の派遣

Q 特定技能外国人を農業・漁業分野の労働者派遣は普通の派遣会社でも取り扱うことはできますか。

nakamiya03.png 普通の派遣会社では特定技能外国人の派遣を取り扱うことはできません。特定技能外国人の就業に関して、原則、労働者派遣形態によるものは認められていませんが、農業分野、漁業分野に関しては農作物や魚種によって同じ地域であっても繁忙期・閑散期が異なることから、繁忙期の労働力確保に対応するため労働者派遣形態による受入れが認められています。

 ただし、特定技能外国人を雇用することができる派遣会社は、農業分野、漁業分野それぞれ条件が定められています。ほとんど全ての既存の派遣会社では条件を満たすことができないと思います。もし、派遣会社がこの分野に参入するのであれば、地方公共団体や農協、漁協と連携し新たな法人を設立した方が簡便と思います。

 農業分野で特定技能外国人を雇用する派遣会社は、以下①~④いずれかに該当しなければなりません。

①農業者または農業協同組合、農業協同組合連合会、農業者が組織する事業協同組合
②地方公共団体または①の者が資本金の過半数を出資していること
③地方公共団体の職員または①の役員、職員が役員であること
地方公共団体または①の者が農業分野に関する業務執行に実質的に関与していること
④国家戦略特区農業支援外国人受入事業における特定機関であり、農業経営体に外国人派遣の実績があること

 漁業分野で特定技能外国人を雇用する派遣会社は、以下①~③いずれかに該当しなければなりません。

①漁業経営体、養殖経営体、漁業協同組合、漁業協同組合連合会
②地方公共団体または①の者が資本金の過半数を出資していること
③地方公共団体の職員または①の役員、職員が役員であること
地方公共団体または①の者が農業分野に関する業務執行に実質的に関与していること


(中宮 伸二郎/社会保険労務士法人ユアサイド 代表社員)

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