コラム記事一覧へ

2019年8月 8日

中宮伸二郎社労士の「労務の心得」32・労使協定方式の地域指数

Q 労使協定方式の際に用いる一般賃金に乗じる地域指数は、派遣元の所在地、派遣先所在地どちらを用いるのでしょうか。

nakamiya03.png 派遣先事業所所在地の地域指数を用います。労働者派遣法施行規則第25条の9に「派遣先の事業所その他派遣就業の場所の所在地を含む地域において」と規定されており、一般賃金に関する通達(職発0708第2号)では、「派遣先の事業所その他派遣就業の場所」とは、労働者派遣事業関係業務取扱要領第8の5「派遣先事業所単位の期間制限の適切な運用」と同様であるとしています。つまり、派遣契約締結時に派遣先が通知する事業所単位の抵触日の事業所所在地の地域指数が適用されることになります。

 事業所単位の抵触日は、雇用保険の適用事業所と同じ考え方をします。工場、事務所、店舗等、場所的に他の事業所その他の場所から独立していること、経営の単位として人事、経理、指導監督、労働の態様等においてある程度の独立性を有すること、一定期間継続し、施設としての持続性を有すること等の観点から実態に即して判断するとされています。

 ただし、出張所、支所等で、規模が小さく、その上部機関等との組織的関連ないし事務能力からみて一の事業所という程度の独立性がないものについては、直近上位の組織に包括して全体を一の事業所として取り扱うとされていることから、必ずしも派遣社員の就業場所と派遣先事業所が一致するものではありません。そのため、派遣先事業所を本社のある東京、就業場所を埼玉出張所として派遣契約を締結した場合、東京の地域指数を用いて一般賃金を計算しなければなりません。

 

(中宮 伸二郎/社会保険労務士法人ユアサイド 代表社員)

PAGETOP