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2020年1月30日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」5・令和2年1月14日公表版の労使協定(イメージ)①

Q 先日、労使協定の書式が厚生労働省から公表されましたが、どのあたりに注意して参考にしたらよいでしょうか。

koiwa1.png 1月14日、厚労省から「労働者派遣法第30条の4第1項の規定に基づく労使協定(イメージ)」が公表されました。労使協定の書式は「点検・検討マニュアル」などでも公開されていましたが、条項例の複数パターンが示されるなど、大幅に内容が更新されています。
 「対象となる派遣労働者の範囲」(第1条)については、次のような条項例が記載されています。

【労働契約期間によって対象を限定する場合の例】
第1条 本協定は、期間を定めないで雇用される派遣労働者(以下「対象従業員」という。)に適用する。

【一の労使協定に複数の職種を記載する場合の記載例】
・第1条 本協定は、派遣先でプログラマー及びシステムエンジニアの業務に従事する従業員(以下「対象従業員」という。)に適用する。
・第1条 本協定は、派遣先で別表○に掲げる業務に従事する従業員(以下「対象従業員」という。)に適用する。


 労働者派遣業務取扱要領には、「労使協定の対象となる派遣労働者の範囲を定めるに当たっては、職種(一般事務、エンジニア等)や労働契約期間(有期、無期)などといった客観的な基準によらなければならない」(2020年4月1日以降版、P190)とありますが、上記の記載に具体的な対応がより明確にされたといえます。

 対象労働者の範囲については、合理的な理由があれば労働契約期間による適用と職種による適用を併用することも許されると考えられます。労働契約期間と職種以外の基準で適用するのは実務的には難しいと思いますので、注意したいものです。


(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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