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2020年5月14日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」20・新型コロナウイルスの雇用調整助成金の特例措置②

Q 雇用調整助成金を申請するには会社が労働者の過半数代表者と休業協定書を締結しなければならないと聞きましたが、この過半数代表者はどのように選ぶことになりますか。

koiwa1.png 新型コロナウイルス感染症の影響から雇用を守るための手段として、雇用調整助成金を活用する例が非常に増えています。助成金を申請するためには、具体的な休業計画を立てた労使協定を締結し、計画届を提出しなければなりませんが、特例措置では休業実施後の事後提出でもかまいません。

 休業協定書は、会社と常時雇用する労働者の過半数代表者との間で締結する必要があります。「常時雇用する労働者」とは、具体的には以下のように定義されています(雇用関係助成金支給要領)。

 「常時雇用する労働者」とは、2か月を超えて使用される者(実態として2か月を超えて使用されている者のほか、それ以外の者であっても雇用期間の定めのない者及び2 か月を超える雇用期間の定めのある者を含む。)であり、かつ、週当たりの所定労働時間が、当該事業主に雇用される通常の労働者と概ね同等(現に当該事業主に雇用される通常の労働者の週当たりの所定労働時間が40時間である場合は、概ね40時間である者をいう。ただし、労働基準法(昭和22年法律第49号)の特例として、所定労働時間がいまだ40時間を上回っている場合は、「概ね同等」とは、概ね当該所定労働時間を指す。)である者をいう。

 正社員やフルタイムの有期雇用労働者(2か月を超える)は該当しますが、正社員よりも労働時間が少ないパートタイマーやアルバイトなどは除かれます。36協定や就業規則の届出書のような労基法や、派遣法の待遇決定方式の労使協定とは考え方が異なります。

 なお、特例により休業開始後に休業協定書を締結することも認められますが、この場合は締結日から遡及して発効させる必要があるため、「本協定書は〇年〇月〇日に遡って適用する」といった規定を置くことになります。特例の性質上、締結日=発効日という協定書は認められませんので、注意しましょう。


(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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