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2021年5月 4日

【ブック&コラム】『あの人はなぜ定年後も会社に来るのか』

定年後の孤独の正体とは?

c2104_2.jpg著者・中島 美鈴
NHK出版、定価850円+税


 日本人の3人に1人が60歳以上という時代にあって「定年後することがない」と孤独感にさいなまれる人々(特に男性)の増加を問題視する著者は、認知行動療法を応用した生き方のヒントを個々の読者にレクチャーする。

 まずは、価値観・感情、他者との関係構築のスタイルは幼少期に形成され、また自分とは何か、どこへ向かうのかというアイデンティティは青年期に確立されるという原則を確認。そのうえで、「マインドフルネス」で現在の自分の感情をモニタリングし、「セルフ・コンパッション」で自らを思いやるプロセスを経て、今一度やりたいことを見つけ、計画に落とし込むところまでを導いていく。つまり、論考の主眼は老若男女を問わず自身とどう向き合い、他者との良好な関係をいかに継続させていくかという個人の内面への働きかけにあり、書名は事象の一面をナナメに表現したレトリックにすぎない。

 定年後の孤独の正体が、20代以降の働き方、同僚や家族との関わり方の蓄積だとするなら、確かに中高年男性ほどヤバイと気づかされるはずだ。


(久島豊樹/HRM Magazine より)

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