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2022年3月 3日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」112・キャリアアップ助成金・正社員化コースの対象者

Q 紹介予定派遣でキャリアアップ助成金を申請したいと考えています。対象となる労働者の要件を教えてください。

koiwa1.png キャリアアップ助成金は、有期雇用労働者や短時間労働者、派遣労働者のキャリアアップを促進するために正社員化や処遇改善を実施した場合に助成される制度ですが、紹介予定派遣によって派遣労働者が派遣先の正社員に転換した場合などは、キャリアアップ助成金・正社員化コースの対象となる可能性があります。正社員化コースの対象となる労働者の主な要件は、以下の通りです。

(1)以下のいずれかに該当すること  
①対象事業主に雇用される期間が通算6か月以上の有期雇用労働者  
②対象事業主に無期雇用される期間が6か月以上の無期雇用労働者  
③6か月以上継続して派遣先業務に従事している有期または無期派遣労働者  
④対象事業主が実施した有期実習型訓練(人材開発支援助成金・特別訓練コース)を修了した有期雇用労働者等  
⑤就労経験のない職業に就くことを希望し、紹介予定派遣(期間中に派遣元のOFF-JTを8時間以上受講)で2か月以上6か月未満の期間、派遣先の業務に従事している有期または無期派遣労働者(特定紹介予定派遣労働者)
(2)正規雇用労働者等として雇用を約して雇い入れられた有期雇用労働者等でないこと
(3)①②のいずれにも該当しないこと  
①過去3年以内に対象事業所または密接な関係のある事業所で正規雇用労働者として雇用されたことがある者など  
②無期雇用労働者に転換または直接雇用される場合、過去3年以内に対象事業所または密接な関係のある事業所で正規雇用労働者または無期雇用労働者として雇用されたことがある者など
(以下略)


 なお、OFF-JTについては、基本的には法定の段階的かつ体系的な教育訓練等(30条の2)を実施することで満たすことができますが、キャリアアップ助成金の要件は「OFF-JT」と「派遣期間中の実施」に限定されているため、派遣元が法定の教育訓練等を実施していても、OFF-JTが含まれていたり、紹介予定派遣の期間中に教育訓練が実施されない場合は要件を満たさないため、注意する必要があります。


(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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