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2022年9月29日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」142・改正職業安定法について③

Q 改正職業安定法が施行されますが、職業紹介事業と募集情報等提供事業との区分について簡単に教えてください。

koiwa1.png 今回の改正によって、「募集情報等提供事業者」ではなく、「職業紹介事業者」として許可を取得して事業を行う必要がある事業者があります。これらの事業者については、法律上、許可が必要な事業を無許可で行うと、違法行為について1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられる可能性があります。具体的には、以下の3パターンとなります。

(1)求職者に対して、求職者の希望職種やプロフィール、過去の応募・検索履歴などからみて、興味を持ちそうな関連求人をおすすめするケース 表示

(2)ある求人情報について、求人内容や求職者の属性などから興味を持ちそうな求職者を選択して、その対象者のみにおすすめ情報を配信するケース 表示

(3)求人情報(給与、職種、勤務地など)の条件に合致しそうな求職者を選択して、
事業者が独自のメッセージなどを付加して、求人情報を配信するケース 表示

 これらのパターンについては、今回の改正によって、いずれも職業紹介事業の許可が必要だと判断されますが、広告代理店やITメディアなどを中心に新たに許可が必要となる事業が出てくることになると考えられます。必ずしも人間が介在した人為的な働きかけに限らず、AIなどを介して自動的に行われているケースも当てはまる点には注意が必要です。改正法のリーフレットなどでは新たに創設される届出制や求人情報の的確な表示義務などに目が行きがちですが、職業紹介事業に該当するか否かをめぐる論点は具体的な実務への影響が大きい内容ですので、余裕をもって確実な対応を期したいものです。

(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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