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2023年1月17日

【ブック&コラム】消滅の危機にある?新聞

 新聞の減少が止まらない。日本新聞協会によると昨年10月時点の発行部数は約3084万部で、1年前より6.6%にあたる218万部も減った。このペースで減り続けると、あと20年もすれば新聞は消滅してしまうという試算もある。書籍や雑誌も含む「紙文化」の衰退の一環なのだろうか。

c230117.png とにかく、若者が新聞を読まない。電車に乗ってもスマホ全盛で、新聞を広げる人を見かけなくなった。図書館で新聞を読んでいる人は、ヒマそうな(失礼!)高齢者だけ。これでは先行きが暗いのも当然だ。情報が遅い、かさばる、購読料が高い、検索ができないなど、テレビやネット情報に慣れ親しんだ人たちにすれば、「なくても困らない」媒体になっているようだ。

 しかし、だ。シロクロのはっきりしている事象や趣味のお話ならともかく、わかりにくい話、社会の表になかなか出てこない話など、記事を書く記者の問題意識や取材能力が問われる記事になると、やはり新聞を上回る媒体はまだない。例えば、これから大問題になるはずの防衛論。コトは防衛費が増えるだけの問題ではなく、戦後日本が守ってきた「専守防衛」からの大転換になる可能性が高い。その賛否や問題点をきちんと報道しているのは新聞だけだ。

 ネット情報が氾濫している昨今、世論は一方的な極論に流れがちで、その歯止めのないメディアは大きな危険をはらんでいる。問題の背景や歴史まで理解しながら判断する「情報リテラシー」が重要なカギになる。それを担保しているのも新聞であり、「信頼できるメディア」の地位は揺るがないだろう。「昭和の遺物」と切り捨てるのはまだ早い。(俊)

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