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2025年8月 7日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」288・マイナ保険証への円滑な移行について

Q 健康保険証のマイナ保険証への移行にあたって交付される資格確認書について、具体的に教えてください。

koiwa24.png 令和6年12月2日からマイナ保険証による医療機関等の受診の仕組みに移行し、新たな健康保険証の発行はされなくなりました。従来の健康保険証を保有している人については、経過措置期間として令和7年12月1日までの1年間は健康保険証による受診が受けられますが、12月2日以降は健康保険証が使用できなくなります。そこで、マイナ保険証による資格確認を受けられない人(約1200万人)に対しては、本人の申請によらずとも「資格確認書」が交付されることになり、令和7年7月30日~10月24日が送付時期とされています。令和7年4月30日時点の協会けんぽにおけるマイナ保険証利用登録率は67.22%であることから、約3割ほどの人が資格確認証の交付の対象となると考えられます。

 以下は、「マイナ保険証への円滑な移行に向けた対応について」(令和7年7月24日、全国健康保険協会)による、資格確認書のイメージです。

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 マイナ保険証への移行については、令和7年6月27日に厚生労働省から「健康保険証の有効期限切れに伴う暫定的な取扱いに関する疑義解釈資料の送付について(周知)」の事務連絡が発出され、関係団体に対して健康保険証の有効期限切れに伴う移行期の暫定的な取扱いについて、適正な運用の徹底が求められています。別添の疑義解釈資料「健康保険証の有効期限切れに伴う暫定的な取扱い」では、以下のような問答が掲載されています。

問 多数の自治体で国民健康保険の健康保険証が有効期限切れにより順次失効するが、
・有効期限が切れた健康保険証を引き続き持参してしまう患者や
・健康保険証の切り替えに伴って通知された「資格情報のお知らせ」のみを持参する患者
に対しては、どのように受給資格の確認をするのか。


 医療機関の窓口等での受給資格の確認は、①マイナンバーカードを利用して電子資格確認を受ける、②資格確認書か健康保険証を提出するのいずれかが基本ですが、①の資格確認を受けられなかった場合には、「マイナンバーカード+資格情報のお知らせ」、もしくは「マイナンバーカード+マイナポータルの資格情報画面」のいずれかでも、資格確認が可能だとしています。

 今後は、有効期限が切れた健康保険証や、「資格情報のお知らせ」を持参する人が増えると考えられますが、これらによって適正に保険診療を受けることはできないため、窓口が混乱することも予想されます。国としては、このような場合においても、ただちに10割の負担を求めるのではなく、社会保険の資格を確認した上で、オンライン資格確認システムに資格情報を照会するなどして、ひとまず3割負担の請求を行っても差し支えないとしています。

 次回以降にマイナ保険証か資格確認書を持参するよう働きかけるといった暫定的な対応を令和8年3月末までに講じることで、現場での混乱を少しでも避けることが想定されていますので、このような方策に理解をしつつ、それぞれの立場においてマイナ保険証への円滑な移行に心掛けていきたいものです。


(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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