コラム記事一覧へ

2025年8月26日

【ブック&コラム】『会社は社員を二度殺す』

勤労者が突然死・自死すると......

c2508_1.jpg著者・今野 晴貴
文藝春秋、定価1155円(税込)


 長く労働相談の現場に身を置いてきた著者が、過労死・過労自死の"その後"を描く。勤労者の突然死・自死が起きたとき情報不足から沈黙するしかない遺族と、狡猾な対応に走る企業とを対比させ、そもそも遺族が労災申請に動かないと、単に病死・自殺で処理されてしまう理不尽さを報告している。

 労基署が調査に乗り出したケースでも、会社は証拠集めを妨害し、事実を歪曲・捏造し、「高血圧」「残業代目当」など死因を本人に転嫁。労災認定に進んでも、会社にペナルティを課す効力はなく、遺族が改めて民事訴訟に動かない限り、謝罪や反省は引き出せない困難さを指摘する。そして訴訟に至ると「不倫の噂があった」「家庭の問題では」等、会社は責任転嫁の言動をためらわず、被害者の名誉が傷つけられるという意味で「二度殺す」という書名の真意が明かされる。

 前半は生々しい法廷ドラマのような展開を再現。後半は賠償金を巡って「命」が値踏みされる経済原理を問題視していく。人事部・法務部の「闇」に踏み込んだ衝撃の問題作といっていいだろう。

(久島豊樹/HRM Magazine より)

  • 会員限定メールサービス「triangle」
  • 労政インタビュー
  • 実務詳解 職業安定法
  • 実務詳解 職業安定法
  • JobSuite TEMPORARY
  • FLJ
  • 社会保険労務士法人すばる
  • CROSS STAFF
  • 社労士法人ユアサイド中宮伸二郎
  • 労働新聞社
  • 三松堂株式会社
  • ワイン
  • HRMマガジン

JAPAN PRIVACY CONSULTANTS ASSOCIATION

PAGETOP