東京商工リサーチが16日発表した「最低賃金(最賃)の25年度引き上げに関する調査」によると、今回の大幅引き上げを受けて6割近い企業が給与改定を考えているものの、政府目標の「20年代に1500円」に対しては5割近くが「不可能」と回答した。
今年は全国平均で66円増の1121円になった。これに対して、「引き上げ後の最賃より低い時給はないので、給与は変更しない」が43.2%と最も多かったが、昨年の59.6%から16.4ポイントもダウンした。一方、「最賃より低い時給はないが、給与を上げる」が29.6%、「最賃を下回っているので、最賃まで上げる」が15.2%、「最賃以上に上げる」が12.0%あり、上げる企業は56.8%と6割近くに上った。
具体的な対策としては、「商品、サービスの価格転嫁」が39.1%で最も多く、「設備投資で生産性を向上」が20.2%、「雇用を抑制」が16.0%などで続いた(複数回答)。
しかし、3年連続の大幅引き上げに対する抵抗感も強く、政府目標の「1500円」に対しては「不可能」が49.3%を占め、「可能」の33.4%、「すでに達成」の17.3%を上回った。「不可能」は大企業の34.5%に比べ、中小企業は50.4%と大きく上回っている。
調査は1~8日に実施、6280社の有効回答を集計した。資本金1億円以上を大企業、同1億円未満を中小企業に分類した。