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2025年10月17日

危機対応と経済復興における人材サービスの役割を考察 金沢市を舞台にWEC北東アジア地域会議

20251017_1.jpg 日本・中国・韓国の人材サービス業界を代表する団体と代表者が一堂に会する「WEC(世界雇用連合)北東アジア地域会議」が17日、石川県金沢市で開かれた。日本人材派遣協会の主催で、2018年の沖縄以来、7年ぶりの日本開催=写真・上。会議では、天災やパンデミックなどの危機対応と経済復興における人材サービスの役割をテーマに、各国の最新の労働市場や政策動向を共有しながら、今後の危機対応力の強化と持続的な経済成長への貢献について深掘りした。

 WECは、世界各国の人材ビジネス業界を代表する企業と団体で構成。2016年に前身の国際人材派遣事業団体連合「Ciett」から名称変更して活動領域を広げている。ヨーロッパ、北アメリカ、ラテンアメリカ、南アジア太平洋、北東アジア及びアフリカの6地域で組織しており、派遣協は中国、韓国とともに北東アジア地域に参画している。

20251017‗2.jpg 開催にあたって、WEC北東アジア地域の池田匡弥代表(マンパワーグループ社長)が「人材サービスが更に社会的貢献を果たしていくために議論を深めよう」と呼び掛け、来賓として出席した石川県商工労働部の坂野信吾参事と石川労働局の八木健一局長が挨拶。主催者である派遣協の川崎健一郎会長(アデコ会長)は「派遣社員のスキル向上と成長分野への円滑な労働移動を支援することで、働く人たちのキャリア形成と企業の生産性向上を同時に実現する役割を担っている。人材の可能性を最大限に引き出し、社会全体の持続的な成長に貢献できるよう、積極的に情報共有して議論を深めましょう」と歓迎の言葉を述べた=写真・中。来日したWECのベッティーナ・シャラー会長は、世界の労働市場の動きを交えて北東アジアの参加者に挨拶した。

20251017‗3.jpg 会議では、各国の労働市場の動向について「報告と共有」が行われ、日本は派遣協の阪本耕治副会長(スタッフサービス・ホールディングス社長)が登壇した。続いて、危機対応と経済復興における人材サービスの役割をテーマにプレゼンテーションを展開。派遣協の角裕一副会長(ウィルグループ社長)を皮切りに、金沢大学の篠田隆行教授(学長補佐=地域共創担当)が「創造的復興における人材サービスの社会的価値と役割~令和6年能登半島地震および奥能登豪雨災害から考える」と題して基調講演=写真・下。災害時の状況を丁寧に説明しながら、避難生活のリアルな様子や課題を説き、キーワードに「情報の信頼性」と「命と心をつなぐサービス」を挙げた。そのうえで、被災時に感じた人材サービスが有するポテンシャルについて触れ、更なる価値向上の方策として「個に対する伴走支援の強化」「横断的機能の強化」「新たな『仕事』の創造支援」――の3点を提言した。

 これを受けて、石川県内に事業所を置く人材会社53社で構成する石川県人材事業協議会の嶋洋一事務局長が登壇。震災後の被災者に対する就業支援から得た教訓を紹介し、「緊急期」「生活再建期」「地域復興期」のいずれのフェーズにおいても「人に寄り添う姿勢」が大切であることを強調した。この後、韓国と中国の代表からもプレゼンテーションが行われ、活発な質疑応答を展開した。


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