若者が「成長」を焦るはなぜか?
著者・牛窪 恵
日経BP・日本経済新聞出版、定価1210円(税込)
いわゆる「Z世代」の若者1600人を対象に大規模なアンケート調査を実施し、55人への直接取材を重ねて、世代の特徴を考察していく1冊。「仕事と働き方」「政治と起業、地元志向」「恋愛と結婚」「家族と出産」「消費とSNS、友人関係」の5章に分けて傾向を整理したうえで最終章では「Z世代と創るニッポンの未来」と題し、彼らとの向き合い方を探る。
Z世代は必ずしも打たれ弱いわけではなく、自分をアップデートし続けようとする成長志向が高いとされる。「楽しいだけのぬるま湯」を警戒し、「この会社じゃ成長できない」と気づいた場合は離職の決断も速い。キャリア観ではリスクを先回りし、複数のプランを準備したり、20代から老後の生活資金作りに励んだりするなど行動の原点には焦りと不安感が大きいと分析されている。
翻って上の世代が仕事面で彼らに対峙する際は「多様性を示し」「対話と傾聴のプロセスを経て」「個別の助言を通じて自律的な選択を後押しする」スタンスが有効だとまとめ、1on1のスキルをヒントに挙げている。
(久島豊樹/HRM Magazine より)