総合評価による調整は不要
著者・長﨑 哲也
合同フォレスト、定価:1760円(税込)
目標管理をベースにした成果主義人事を導入していながら業績が伴わず、社員の不満も絶えない現実を捉え、「制度のせいではなく運用の問題ではないか」と人事コンサルタントの著者は疑う。場当たりに目標が追加されたり、経営陣の気まぐれで評価がひっくり返ったりする現象が続くと、社員が組織に見切りをつけるリスクが高まり、その意味で人事評価は企業の生命線だと強調する。
制度運用の見直しポイントでは、評価指標とビジョンのつながりを第一に挙げる。続けて、目標と評価の関係を整理し、ただのToDoは達成されても変化は起きないと警告。経営と一貫性のある目標を設定し、部門間・部署間で公開・共有する緊張感が改善のカギになると述べている。また、評価面談を育成に活かす一方で、評価そのものは業績と行動の達成だけを見ればよく、総合評価による調整は止めたほうが納得感は高まるとも指摘する。
最終章に12項目の「人事評価制度チェックリスト」をまとめているので、まず自社の状態を把握してから読んでもいいだろう。
(久島豊樹/HRM Magazine より)






















