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2026年2月12日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」314・令和8年の女性活躍推進法改正

Q 女性活躍推進法が改正されると聞きましたが、具体的にはどのように改正されるのですか。

koiwa24.png 女性の職業生活における活躍に関する取り組みの推進等を図るための女性活躍推進法等の改正法が成立し(令和7年6月11日公布)、関係省令・指針が改正されています(同年12月23日公布・告示)。今回の改正の目玉は、男女間賃金差異 と女性管理職比率の公表義務の拡大であり、女性の健康上の特性への配慮も盛り込まれました。改正の主な内容は、以下の通りです。

(1)情報公表の必須項目の拡大
 従来は従業員数301人以上の企業に公表が義務付けられていた男女間賃金差異の公表義務が101人以上の企業に拡大され、新たに101人以上の企業に女性管理職比率の公表が義務付けられます。従業員数100人以下の企業についても、努力義務の対象とされます。

 従業員数301人以上の企業には、以下の4項目以上の情報公表が義務付けられます。

・男女間賃金差異(令和4年7月8日~)
・女性管理職比率(令和8年4月1日~)
・女性労働者に対する職業生活に関する機会の提供に関する実績(下のから1項目以上)
・職業生活と家庭生活との両立に資する雇用環境の整備に関する実績(下のから1項目以上)


c260212.jpg 従業員数が101~300人の企業については、新たに男女間賃金差異+女性管理職比率+上の2つのの14項目のうち1項目以上選択の3項目以上の情報公表が義務付けられます。上記のは301人以上、101~300人の企業に共通となっていますので、該当するルールに従って適切なものを選択したいものです。

(2)えるぼし認定基準(1段階目)の見直し
 えるぼし認定の一部(1段階目)の基準が見直され、改善傾向にあることを評価する新たな選択肢が示されました。変更点は、以下の通りです。とても細かな規定ですが、従来の要件よりも緩和されますので、えるぼし認定を検討する場合は参考にしたいものです。

現行の基準 改定後の基準
①認定基準5項目のうち1~2項目の基準を満たして実績を毎年公表すること
②基準を満たさない項目に関する取組の実施状況について毎年公表すること
③基準を満たさない項目について2年以上連続して実績が改善していること
①②は同じ
③基準を満たさない項目について以下に該当すること(引き続き現行の③でも可)
(ⅰ)単年度の実績を評価している項目については、従来の基準(2年以上連続して実績が改善)又は以下のいずれかに該当すること〈選択肢を追加〉
「A:直近の事業年度までの連続する3事業年度の平均値」、
「B:その前の事業年度までの連続する3事業年度の平均値」及び
「C:その前々年度までの連続する3事業年度の平均値」を比較し、連続して改善していること
(A>B>C)
(ⅱ)上記以外の項目については、2年以上連続して実績が改善していること〈従来の基準通り〉

(3)えるぼしプラス(仮称)認定の創設
 えるぼし認定及びプラチナえるぼしについて、女性の健康支援に関する基準を追加した新しい認定制度が創設されます。「女性の健康支援に関する認定基準」については、①女性の健康上の特性に配慮した休暇制度、半日単位・時間単位の年次有給休暇、所定外労働の制限、時差出勤、フレックスタイム制、短時間勤務、在宅労働等、②女性の健康上の特性への配慮に関する方針を示し、労働者に周知させるための取り組みの実施、③女性の健康上の特性への配慮に関する研修その他の配慮に関する労働者の理解を促進するための取り組みの実施、④女性の健康上の特性への配慮に関する業務を担当する者の選任などとされます。

 正式名称と新しい認定マークが公表され、4月1日から申請が開始される予定ですので、具体的な内容等は厚生労働省ホームページで確認したいものです。

(4)職場における女性の健康支援
 女性活躍の推進にあたって、女性の健康上の特性に留意して、一般事業主行動計画の策定や、職場における女性の健康支援に資する取り組みを盛り込むべきことが法律で明確化されました。今後は一般事業主行動計画の策定にあたって、男女の性差を踏まえ、特に職場における女性の健康上の特性に係る取り組みが行われることが求められます。
 具体的な内容としては、職場におけるヘルスリテラシー向上のための取り組み、休暇制度の充実・柔軟な働き方の実現、健康課題を相談しやすい体制づくりなどが考えられます。

 なお、このような取り組み全般にあたっては、性別を問わず使いやすい休暇制度の整備や職場全体の働き方改革などを進めることが期待されますので、女性の健康支援のための措置にあたって、労働者全体を対象として実施することも有効となります。今回の法改正を契機として、健康支援を充実させてより働きやすい職場づくりに向けた見直しをはかっていきたいものです。

(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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