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2026年8月 6日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」338・お盆休み前後の仕事の進め方と労務管理

Q お盆休み前後は、取引先や従業員の休暇取得が重なり、仕事の進め方が難しくなります。労務管理上、どのような点に注意すればよいでしょうか。

koiwa24.png まもなくお盆休み(夏期休暇)の時期を迎えます。多くの企業でまとまった連休が取得される時期ですが、近年は働き方の多様化や人手不足、猛暑対策などの影響もあり、お盆休み前後の業務プロセスや労務管理において注意すべきポイントが変化してきています。今回は、企業や人事担当者、人材サービス事業者が押さえておきたい「お盆休み前後の仕事の進め方と労務管理」の視点について整理します。

 まず前提として確認しておきたいのが、お盆休み(夏期休暇)の法的な位置付けです。労働基準法上、企業に「お盆休み」の付与を義務付ける規定はありません。そのため、多くの企業では以下のいずれかの方式により休暇を設定しています。

①会社の就業規則に基づき「特別休暇(夏期休暇)」として一斉付与する方式
②労働基準法第39条第6項に基づく「有休の計画的付与(計画年休)」を活用する方式
③業務の都合や個人の希望に応じて、夏季の一定期間内に各自で「有給休暇」を取得させる方式

 ①や②のように一斉休業を行う場合は、就業規則や労使協定の整備が不可欠です。特に計画年休を導入する場合は、労使協定で付与日数を定めた上で、労働者が自由に権利を行使できる日数(最低5日)を確保しておく必要があります。また、事業の特性上、一斉休業が難しく③のように個別取得を推進する場合は、業務の滞りや特定の労働者への負荷集中を防ぐための工夫が求められます。

 また、年次有給休暇を取得する従業員が増える時期でもあります。政府は「年次有給休暇取得促進期間」を設け、夏季の連続休暇取得を推進していますが、一方で「みんなが休むから休まなければならない」「忙しいので休暇を申し出にくい」といった心理的な圧力が生まれることもあります。年休は労働者の権利であり、取得することも、取得しないことも本人の意思が尊重されるべきです。管理職が周囲との調整を適切に行い、「休みやすさ」と「業務の継続」の両立を図ることが求められます。

 さらに、お盆前後は業務の引継ぎも重要になります。担当者が不在となる期間中に顧客対応やトラブルが発生すると、対応が遅れ、会社への信頼に影響することもあります。担当者個人だけが情報を抱え込むのではなく、案件の進捗や連絡先、対応方法などをチーム内で共有しておくことが欠かせません。近年では、チャットツールやクラウドサービスを活用して情報共有を行う企業も増えていますが、単にデータを保存するだけでは十分とはいえず、「誰が見ても対応できる状態」になっているかどうかという視点が重要です。

 また、長期休暇明けには、生活リズムの変化や暑さによる疲労などから、心身の不調を訴える従業員も少なくありません。いわゆる「休み明けブルー」と呼ばれるような状態だけでなく、熱中症の影響や睡眠不足、家庭環境の変化など、さまざまな要因が重なる時期でもあります。管理職には、「いつもと様子が違う」と感じた従業員への声掛けや、業務量の調整、必要に応じた産業医や保健スタッフとの連携など、早めの対応が期待されます。

 さらに、人材サービス事業者や派遣労働者を受け入れている企業においては、「派遣先と派遣元の休日の不一致」への配慮が必要です。派遣先の事業所がお盆休みであっても、派遣元においてその日が一斉休日となっていない場合、派遣労働者の休業手当の支払い(労働基準法第26条)の要否や、代替勤務の有無が問題となることがあります。事前に派遣契約の内容を確認し、派遣先・派遣元・派遣労働者の三者間で認識をあわせた上で適切に対応することがトラブル防止につながります。

 お盆休みは、日本ならではの季節行事でもあり、労働者にとっては心身をリフレッシュし、プライベートや家族との時間を大切にする貴重な機会です。長期休暇の前後は、日頃の組織運営の課題が見えやすい時期でもあります。お盆休みを単なる「夏休み」と考えるのではなく、働き方や組織運営を見直すきっかけとして活用することが、これからの労務管理にはますます重要になるのではないでしょうか。

(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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