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2026年9月10日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」343・協定対象派遣労働者の待遇改善を進めるにあたって留意すべき事項

Q 令和9年度適用の局長通達では、協定対象派遣労働者の待遇改善についての事項が追加されたと聞きましたが、その内容について教えてください。

koiwa24.png 令和8年度通達では、例えば、「一般賃金の額が下がった場合であっても、見直し前の労使協定に定める賃金の額を基礎として、公正な待遇の確保について労使で十分に協議することが望まれるものである」といったように、協定対象派遣労働者の賃金額についての留意事項が記載されていましたが、今年の通達では、これらを「協定対象派遣労働者の待遇改善を進めるに当たって留意すべき事項」という項目で独立させ、整理して記載されています。これは、以下の令和8年10月1日改正の派遣元指針と同様の内容となっています。

派遣元事業主は、協定対象派遣労働者の待遇の改善を進める観点から、法第30条の4第1項第2号の賃金の決定方法を労使協定で定めるに当たっては、以下の事項に留意すること。
 ①一般賃金の額を遵守した上で、経済・物価動向及び賃金動向を勘案して労使協定に定める賃金の額を決定することについて労使で十分に協議することが考えられること。
 ②一般賃金の額が下がった場合であっても、従前の労使協定に定める賃金の額を基礎として、公正な待遇の確保について労使で十分に協議することが望ましいこと。
 ③労使で十分に協議を行ったとしても、待遇を引き下げる場合、労働条件の不利益変更となり得るものであり、労働条件の不利益変更には、労働契約法第9条に基づき、原則として労使双方の合意が必要であること。


 通達では、派遣元は、派遣料金に関する派遣先との交渉が派遣労働者の待遇の改善にとって極めて重要であることを踏まえて派遣料金交渉にあたり、派遣料金が引き上げられた場合には、可能な限り、派遣労働者の賃金を引き上げるよう努めものとし、賃金を引き下げることを目的に、使用する統計等の変更及び使い分けを行うことは、法の趣旨に反するものとして認められないとしています。

 実務の視点からみると、①経済・物価動向及び賃金動向を勘案して、「労使で十分に協議」が必要であること。②仮に一般賃金が下がった場合であっても、従来の賃金額をベースとして、やはり「労使で十分に協議」が必要であること。③そして、「労使で十分に協議」を行なった場合であっても、労働契約法9条の不利益変更の問題は別であり、原則として労使双方の「合意」が必要となること。これらの点がポイントとなります。

 「労使で十分に協議」という部分が従来以上に実務的にも大切となってくるため、必要な協議を尽くすうえで、その円滑な運営や議事の記録などもあわせて重要性が高まるものと思われます。客観的に相当な労使協議の形態が整うよう、しっかりと取り組んでいきたいものです。


(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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