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2017年5月22日

主要人材ビジネス企業の16年度決算

好調維持の一方、人手不足の光と影も

 人材ビジネス企業の3月期を中心とする2016年度決算がほぼ出そろった=表。緩やかな景気の長期拡大と人手不足を背景に、各社とも15年度に続き好調な業績を維持している。一方で、人手不足や改正労働者派遣法による事業規制強化も本格化しており、生き残りに向けた競争は厳しさを増している。(報道局)

sc170522.png リクルートホールディングス(HD)は15年度に続いて大幅な増収となり、利益面でものれん償却が済んだことから増益に転じた。売り上げシェア最大の人材派遣は海外が6052億円(前期比27.2%増)、国内が4634億円(同11.9%増)となり、海外比率が一段と高まった。15年に買収したチャンドラー・マクロード社(豪州)などの効果が出た。人材メディア部門でも、12年に買収した求人検索エンジンンのインディード社(米国)が押し上げ、4053億円(同12.8%増)に。海外企業のM&A路線は今後も続きそうだ。

 パーソルHDも、昨年からケリー・サービス(米国)との合弁事業をアジア太平洋全体に拡大したのが奏功し、人材紹介事業の売上高は1032億円(同43.8%増)に急増した。国内の人材派遣は4406億円(同9.7%増)で、リクルートと同様に高い伸びをみせており、事業規模では両社がダントツに大きい「二強時代」に入ったことを印象付けた。

 技術者派遣のメイテックグループは売上高が過去最高の900億円(同2.4%増)を記録したが、営業利益は111億円(同2.5%増)と、売上高、利益とも伸び悩んだ。7年連続の増収増益だが、そのペースは次第に鈍ってきている。最大の課題は技術者の確保にある。メーカーなどの技術開発投資は依然として旺盛だが、団塊の世代の大量リタイアなどにより、後続の若手・中堅技術者の確保は年々厳しくなっている。4月は新人技術者を迎えて、3月より500人以上多い過去最高の9185人でスタートしたが、「人材の量」を増やしながら、高収益体質の基盤となっている「人材の質」をどう維持するかがポイントになりそうだ。

 UTグループも、顧客企業への技術者配属時期と人数をマッチングする「コミット受注」が好調で、売上高、利益とも3~4割増。nmsは中国経済の減速を受けて現地企業の受注が減少したため、新たな海外戦略展開に動いている。

人材紹介は好調、連動して求人情報広告企業も

 一方、人手不足の長期化で採用・転職市場は一段と活発化。リクルートキャリアの転職求人倍率は4月に1.87倍の高倍率を記録。求人数は1年前の16%増に対して、転職希望者数は11%増とギャップがあり、そのギャップが拡大しつつある。中心となるのはインターネット専門職や建設エンジニアだ。

 売り手市場を反映して求人企業の広告件数などが急増した結果、ディップやエン・ジャパンなどネットの求人情報広告企業は前年に続いて売上高、利益とも3割前後の二ケタ増となった。
 

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