ニュース記事一覧へ

2025年6月12日

人材紹介の事業価値向上へ、「未来プロジェクト」の次展開を推進、人材協の25年度総会

n250612.jpg ホワイトカラーや専門職を中心とした民間職業紹介の事業者団体・日本人材紹介事業協会(林徹郎会長)は12日、東京都内で2025年度定時総会を開いた=写真。事業者のあるべき姿や会員企業への支援機能強化策を2年かけて検討してきた「未来プロジェクト」を土台に、本年度は同プロジェクトから派生した組織「デジタル技術研究会」と「雇用類似研究会」を走らせ、職業紹介事業のサービス価値の向上に向けて高い社会的価値を受ける事業者の育成を推進する方針だ。

 23年度に始動した「未来プロジェクト」は、職業安定法に基づく許可事業の職業紹介事業とそれ以外の雇用仲介サービスが近似してきていることが背景にある。この状況はAIの進化と併せて今後さらに発展する可能性があるため、2年かけて議論を深めて報告書を取りまとめた。併せて、2つの派生組織を充実させ、時流をつかんだレベルの高い的確なマッチングに磨きをかけていく。

 本年度の基本方針には、職業紹介事業に近接するさまざまな雇用仲介サービスが出現するなかで、職業安定法などの規制を受けないサービスに対して求人者・求職者の不利益につながりかねない事象も発生しているため、人材協会員は法律に基づく許可事業者として適切に実績を重ねていくことなどを盛り込んだ。

 総会後の講演では労働政策研究・研修機構の藤村博之理事長が「人材を人財に変える企業経営のあり方」と題してオンライン講演。藤村氏はバブル崩壊後の日本企業は人件費を「コスト」とのみ考えて「投資」ととらえることをしなかった結果、従業員を減らし過ぎて長期低迷を余儀なくされたこと。従来のメンバーシップ型に対するジョブ型についても、メンバーシップ型の人事管理は悪くないことなどを解説した。

 また、それら以前に「管理職と部下とのコミュニケーションが全ての基本」と強調し、人材ビジネス業界には「労働需給の両者を的確に結びつけ、ミスマッチを防ぐには経験を積んだ担当者が欠かせない」と指摘した。

【関連記事】
「業界全体の底上げと価値向上を」林会長、人材協の25年東日本ブロック会
ビジネスリサーチラボの伊達氏、厚労省の中嶋氏が講演(1月29日)

「就職お祝い金」禁止の実効性確保へ
職安法施行規則などの改正を了承、労政審
10月交付、来年4月施行(2024年9月27日)

PAGETOP