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2022年2月21日

転職者が2年連続の減少

コロナで"様子見"増える

 新型コロナウイルスの感染の長期化により、2021年は国内の就労者、転職者とも減少し、失業者は増加するなど、労働市場の縮小が続いている。市場の回復はオミクロン株の収束時期に掛かっているが、同時に職種などによる好不調の二極化も進んでおり、コロナをきっかけに労働市場の質が変わる可能性も出ている。(報道局)

 総務省がこのほど発表した労働力調査によると、21年の就業者は年平均6667万人(前年比9万人減)と2年連続の減少で、コロナ前の19年の6724万人のピーク時から2年間で57万人減った。完全失業者は193万人(同2万人増)で、19年の162万人を底に2年連続で増加している。

 就業者数と増減を産業別にみると、「宿泊・飲食サービス業」が369万人(同22万人減)で最も減少しており、「建設業」の482万人(同10万人減)、「生活関連サービス業」の225万人(同10万人減)と大きく減った一方、「医療・福祉」が884万人(同22万人増)、「情報・通信業」が256万人(同16万人増)と大きく増えている。

 コロナ禍によって飲食店やホテルなどの対面型業種が大きな打撃を受け、離職者が急増する一方、医療・介護現場のひっ迫に伴う看護・介護職が不足し、テレワークの普及などによって企業のDX人材需要が高まるなど、大規模な労働移動が起きていることがうかがわれる。

sc220221_2.png 転職市場も、新型コロナの影響を強く受けている。過去1年間の転職者は21年が288万人(同31万人減)となり、19年の351万人から2年間で63万人減少した。転職者は11年以降、慢性的な人手不足を背景に毎年増え続け、19年がピークとなったが、コロナによって景気が落ち込み、多くの企業が雇用維持を最優先してきたことから、不安定な時期の転職を思いとどまる人が増えたのが大きな要因とみられる=グラフ

 転職者比率(就業者に占める転職者の割合)も4.3%で前年より0.5ポイント低下した。年代別では15~24歳が9.8%と最も高いが、前年より0.8ポイント低下したのをはじめ、65歳以上を除く全年代で低下した。

 22年もオミクロン株の収束動向に左右されそうだ。収束の見通しが強まれば個人消費は回復し、飲食店、ホテル、旅行、鉄道、航空、各種イベントなどの業種も本格活動を再開する。それに伴う人材需要が再び強まることになるが、その時期がいつごろになるかは不透明だ。昨年末までは年明けからの回復を予想する声が多かったが、オミクロン株の急増で軒並み後ろにずれ込んでいる。

 また、仮に需要が回復しても、これらの業種はもともと生産性の低い労働集約型の企業が多く、賃金水準が低いことから、個々の就業者の生活水準の向上にはそれほど寄与しない可能性が高い。

DXなどスペシャリストがさらに優位に

 生産性の向上に期待できるのは、コロナ禍で再び注目されているIT人材の増加だ。ITを駆使するDX営業、各種データ分析、デジタルマーケティングなど、情報通信分野を中心にヘッドハンティングなど人材の争奪戦が起きている。これらはIT業界だけでなく幅広い分野の企業の導入が見込まれ、...

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