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2022年9月19日

解禁の道筋見えた「賃金デジタル払い」、体制づくりを急ぐ厚労省

消費の利便性向上を狙う政府、ニーズはあるの?

 キャッシュレス化の促進や多様な賃金支払いのニーズに対応する「賃金デジタル払い」が、来春にも解禁される。厚生労働省は、労働基準法第24条の省令改正や施行規則策定などの準備を進める一方、事業者指定や指導監督を含めた運用開始後の組織体制づくりを急ぐ構えだ。労働政策審議会のテーブルに厚労省が起案してから2年。途中、労働者側委員の猛反発から約1年の"冷却期間"を空けて計8回の審議を経て解禁にメドが付いた「賃金デジタル払い」について、解禁までの流れと解禁後の課題を探る。(報道局)

sc220920.jpg 9月13日に開かれた労政審労働条件分科会で荒木尚志分科会長は「働く人の糧である賃金の確実な支払いと労働者保護が図られるよう、金融庁と連携、検討し、(省令改正の)諮問に向けた準備を進めていただきたい」と促して、本テーマの議論終結と次への段取りを指示した=写真。昨年1月の同審議会終了直後に、労働組合のナショナルセンターである連合は、異例の抗議会見を開いて「賃金デジタル払い」と議論の進め方に強く抵抗したが、"冷却期間"後の今年3月以降は「議論のテーブルにはのる」姿勢を見せていた。そして、この日の分科会長の締めの言葉を基本的に受け入れた。

 「賃金デジタル払い」は、企業が労働者の希望に応じて、銀行口座を介さずに給与の全部または一部を決済アプリなどに振り込むことを可能にする仕組み。実現するためには、「通貨で直接、労働者に全額支払う」と定める労働基準法第24条の省令改正が必要で、現在、例外で認めている「銀行」に「資金移動業者」を加えなければならない。金融庁に登録しているキャッシュレス決済サービス事業者は85社(2022年8月末現在)あり、大手では「PayPay(ペイペイ)」や「d払い」など。解禁する場合には厚労相が安全性などの基準を設けて指定する。議論の中で、指定事業者の経営体力などのハードルが数段階上がったこともあり、指定される資金移動業者は一桁台に留まる公算が高い。

 「労働者の同意」「資金移動業者の指定要件」「指定・指定取り消し」の3つの視点を中心に、議論の中で厚労省は課題や懸念を払しょくするための規定・基準、ルールなどを積み上げてきた。この日、厚労省が新たに提案した要件は(1)1つのアカウントの残高の上限が100万円以下、(2)業者が破綻した場合でも、速やかに(4日から6日以内)保証機関を通じて全額が払い戻される仕組みを設ける----など。使用者側委員は「中小企業の送金の手数料や活用の際の負担を軽減してほしい」と指摘。労働者側委員は「支払われた賃金の安全性が担保されるよう厚労省や金融庁の体制づくりが急務だ」と注文を付けた。

金融関係の専門家を入れた厚労省の「体制づくり」

 さて、解禁の道筋が見えた「賃金デジタル払い」はこれからどのような段取りで進むのか。厚労省は...

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