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2023年8月28日

コロナ禍の21年度でも堅調だった派遣事業、売上高は3年連続増加

派遣労働者の賃金、有期・無期ともにアップ

 コロナ禍にあっても派遣事業は堅調に推移――。厚生労働省が8月9日に発表した2021年度労働者派遣事業報告書(4万3042事業所、速報)によると、派遣労働者数は209万2305人で、前年度に比べて8.6%増加。内訳は無期派遣が77万5804人(同8.8%増)、有期派遣が131万6501人(同8.5%増)と伸びた。21年度はコロナ禍が続いていたものの、政府が雇用調整助成金の支給要件緩和などを通じて、企業側に派遣労働者を含む雇用維持を要請。派遣需要は衰えず、雇用数も賃金も増える結果となった。(報道局)

 例年、派遣事業報告書は3月末に公表されるが、厚労省は今回、集計の精度を高める観点から(1)売上高について法人全体のものを報告している可能性のある事業所(2)派遣労働者の人数に比べて売上高が大きい事業所――について誤りがないか各事業所に確認。これに伴う修正を過去にさかのぼって実施したため、公表時期が8月になった。

sc230828.png 報告書によると、派遣先件数は75万409件(同0.1%減)、売上高は8兆2363億円(同7.7%増)と3年連続の増加=グラフ。派遣料金(8時間換算)は平均2万4461円(同1.1%増)で、内訳は無期派遣が2万5449円(同0.7%増)、有期派遣が2万354円(同1.7%増)とどちらも増えた。派遣労働者の賃金(同)も平均1万5698円(同0.7%増)で、同様に無期が1万6231円(同0.5%増)、有期が1万3409円(同1.3%増)で、前年と同様にどちらも伸びている。

 コロナ初年の20年度は雇用維持が至上命題となり、派遣先企業と派遣事業者の雇用継続に向けた努力も奏功して乗り越えた。コロナ禍2年目の21年度は、派遣労働者の待遇改善も含めて堅調に推移したことがわかる。

雇用安定措置は第2号の「新たな派遣先提供」が約半数

 15年改正法で義務化された雇用安定措置については、対象労働者103万8464人のうち、第1号(派遣先への直接雇用)を講じた人数は7万2908人で実際に雇用されたのは2万7632人。第2号(別の派遣先)は49万4824人、第3号(派遣元での無期雇用)は1万5596人、第4号(その他)は6万5755人。これを割合でみていくと、第1号を講じたのは全体の7.0%で、実際に雇用されたのはこのうち37.9%。第2号47.6%、第3号1.5%、第4号6.3%となっており、第2号の対応が半数近くを占める。

 また、キャリアアップ向け教育訓練を受けた人は延べ約313万人で、年数別では1年目200万5317人、2年目43万6467人、3年目27万7399人、4年目以降41万2436人。訓練方法としては、「計画的なOJT」が30.0%、「OFF-JT」が68.7%、「計画的以外のOJT」が1.3%となっている。

派遣先件数の構成比は南関東42.3%、近畿16.4%

 派遣労働者や派遣先、事業者の売上高などを地域ブロック別にみると、派遣労働者は...


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