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2024年3月11日

「育成就労」2027年始動、経過措置3年の公算

「特定技能」上限数80万人超、現行の2倍強

 外国人就労の拡大に向けた法整備の要所と施行までの日程感が固まってきた。廃止する「技能実習」に代わる「育成就労」の創設を契機に、政府は先送りしてきた外国人の就労制度全般や永住許可の「適正化」といった諸課題の打開にも乗り出す構えだ。「現場実態に即した見直し」を前面に掲げ、制度や仕組みを再構築するが、働く当事者だけでなく、労働力として受け入れる企業、仲介する監理団体、外国人就労にネガティブなイメージを抱く世論、逆に「共存社会」を望む声、都市と地方の自治体など、「利害の一致しない」あらゆるステークホルダーが法整備の行方を注視している。今国会で成立を目指す改正法の着眼点と今後の展開を探る。(報道局)

sc240311.png 改正法案の審議の過程で修正もあり得るが、近く政府が国会に提出する技能実習適正化法と入管難民法の改正案のポイントとして、「育成就労」は外国人材の「確保と育成」を目的とする。対象分野・職種を「特定技能」にそろえて移行しやすい流れをつくり、中長期的な就労につなげる。焦点となっている「転籍(転職)」を制限する期間は、当面の間、分野ごとに就労開始から「1〜2年の範囲」とする。また、技能実習制度で外国人の受け入れと企業の仲介を担ってきた監理団体は「監理支援機関」に変えて外部監査を強化。法案が成立すれば、公布後3年以内の施行となり、新制度スタートは「2027年」と見込まれる。激変緩和措置として施行後3年の移行期間を設ける公算が高く、完全実施は「2030年」となる。

 なお、転職に関連する規制として、悪質なブローカーの排除を念頭に、民間事業者の関与を認めない方針。転職先の紹介などは監理団体(監理支援機関)やハローワークに限定する。現時点で「特定技能」の転職について民間事業者の規制を敷いていないが、政府の有識者会議の中では関与を指摘する声もあった。

 このほか、永住許可制度の「適正化」にも踏み切る。「育成就労」だけでなく、「特定技能」や「特定活動」などの拡充も進める中で、日本で中長期的に暮らす外国人が増えることを見越し、永住者が故意に納税や社会保険料の納付を怠った場合に永住許可の取り消しを可能とする改正法案を提出する方針だ。

 また、今国会の法改正とは別な動きだが、「特定技能」の運用開始から5年が経過するのを踏まえ、来月2024年度から28年度までの受け入れ上限を改定する。近く建設や外食、工業製品製造など12分野に、自動車運送や鉄道など4分野が加わるが、各分野を所管する省庁の試算を積み上げると、次期5年は80万人超となる見通しだ。19〜23年度の合計は34万5150人となっているので、2倍以上に拡大することになる。

 これまでに固まっている法整備の要所や関連する最新動向を整理したが、さらに詳しい内容と水面下の動きをまとめると...


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