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2018年10月23日

12年後の人手不足644万人、パーソル総研と中央大の共同研究  介護離職防止や能力開発の支援強化を提言

 n181023.jpg12年後の人手不足は644万人――。パーソル総合研究所と中央大学は23日、共同研究「労働市場の未来推計2030」を発表した=写真。産業別で最も人手不足が深刻化するのは「サービス」の400万人、職業別では製造技術者などの「専門的・技術的職業従事者」で212万人と推計。労働力の確保に向けて、賃金上昇や介護離職防止、働く人の能力開発などの支援強化を提言している。

 厚生労働省や総務省などによる就業者数や完全失業率、国内総生産(GDP)の成長率、将来推計人口などをもとに試算。日本経済や産業技術が現在と同じペースで成長、進化することを前提とした。

 調査結果によると、2030年には7073万人の「労働需要」に対して、失業者を除く「労働供給」は6429万人にとどまり、その差にあたる644万人の人手不足が生じると推計した。これは、賃金が上昇し続けることが前提で、17年に比べ約14%伸びると仮定しており、調査・研究を務めた中央大学の阿部正浩経済学部教授は「賃金の上昇がない場合には1000万人規模の人手不足に陥る可能性もあり得る」と指摘した。

 産業別では、「サービス」の人手不足がトップで400万人、次いで「医療・福祉」の187万人と続く。「サービス」は推計全体の6割を占める。また、職業別の最も不足すると予測されるのは「専門的・技術的職業従事者」で212万人。この中には製造技術者のほかに医師、教員なども含まれる。それに次ぐのは「卸売り・小売り」の60万人となっている。

 地域別では、東京の133万人が群を抜き、神奈川54万人、千葉と愛知の各36万人で、サービス業の需要が高い都市部を中心に人手不足の傾向が強くなる見込みだ。

 こうした推計644万人の人手不足の対策として共同研究では、「働く女性を増やす」「働くシニアを増やす」「働く外国人を増やす」の視点を挙げ、それぞれ順に102万人、163万人、81万人の増加の余地があるとの見方を示した。これでも推計全体と比べて不足する298万人は「自動化を含む生産性向上」で補える可能性を示した。

 そのうえで、阿部教授は「人手不足は日本経済にとって大きなマイナス。国や企業は、高齢者や女性の活用を進める環境づくりを急ぐとともに、市場に求められるスキルを働く人が身に付けられる能力開発も支援すべき」と強調。外国人労働者については、「安い労働力という観点ではなく、労働条件の改善も併せた受け入れ体制整備が重要だ」と述べた。
 

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