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2019年2月27日

「組織的隠蔽」再度否定の報告書  毎月勤労統計不正で特別監察委

 厚生労働省の毎月勤労統計調査の不正について再検証していた特別監察委員会(樋口美雄委員長)は27日、追加報告書を根本厚労相に提出した。最大の焦点となっていた組織的な隠蔽(いんぺい)については、「意図的に隠したとまでは認められない」と改めて否定。基本的に1月に公表した中間報告書と変わらない内容となった。

 追加報告書では、東京都内の対象企業を全数調査からサンプル調査に変更した点について、「担当課限りで決定したこと、及びこれを公表しなかったことは不適切な対応であったといわざるを得ず、強く非難されるべし」と指摘。

 さらに、復元処理をしなかった点についても、「プログラム改修に係る事務を担当者に任せきりにしていたという問題点が認められるところであり、適切な統計処理を行うための体制の不備の問題として真摯に受け止めるべきである」などと糾弾した。

 しかし、これらが組織的隠蔽だったかどうかについては、「当時の担当者らが深刻な不正であるなどと捉えていたとは認められなかった」と認定。「綿密な打ち合わせや周到な準備がなされた形跡はなく、その場しのぎの事務処理をしていた」として隠蔽を否定した。

 同統計は政府の「基幹統計」の一つで、賃金、労働時間動向などを調べるもの。従業員500人以上の事業所は全て調べるルールだが、厚労省は2004年に東京都分を抽出する不正調査を無断で開始。さらに、18年1月から不正データを本来の調査結果に近づけるデータ補正をひそかに始めるなどしたため、数字に矛盾が生じて総務省の指摘を受け、問題が発覚した。

 これらを受けて、厚労省は「第三者委員会」の特別監察委員会を発足させ、監察委は1月に報告書を提出。しかし国会審議などの中で、職員からの聞き取りに官房長ら同省幹部が同席するなど、「中立性」に強い疑義が生じたことから、監察委は再調査を余儀なくされたもの。

 

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