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2019年12月27日

医療・介護事業所の7割が「経営に響く」 紹介会社への支払い手数料、厚労省調査

 厚生労働省が27日発表した「医療・介護分野における職業紹介に関するアンケート調査」によると、病院など医療機関が人材紹介会社の仲介で人材獲得した場合、紹介会社に支払う手数料は医師が276.6万円(年収の24%)、薬剤師が122.5万円(同23%)、看護師・准看護師が91.8万円(同19%)となり、69%の機関が「経営上の負担になっており、手数料は高い」と回答していることがわかった。

 採用におけるトラブル(複数回答)では「特にない」が53.7%で最も多かったが、「すぐに辞めてしまった」が29.2%で続き、そのうち半数近くが欠員補充できないままだった。

 一方、介護分野で紹介会社に支払った手数料はリハビリ専門職が78.3万円、看護職員が71.0万円(年収の15%)、介護支援専門員が64.2万円(同17%)、介護職員が50.1万円(同15%)だった。これについても、「手数料が経営上の負担となっている」と回答した所が70.4%に達している。

 トラブル(複数回答)については「特にない」が60.1%だったが、「能力や適性などのミスマッチ」が21.4%、「すぐに辞めてしまった」も18.7%あった。医療と同様に、辞められた場合でも過半数が欠員のままとなっている。

 医療・介護分野は慢性的な人手不足にあえぐ事業所が多く、ハローワークなどの公的機関だけでは人員が足りず、紹介会社を使うケースが常態化しているが、紹介会社に支払う手数料を「高い」と感じている事業所の多いことが明らかになった。年収比率でみる限り、それほど高いわけではないが、医療・介護の事業所収入には健康・介護の公的保険や税金も投入されていることから、「公的資金が紹介会社の利益になっている」との批判も出ている。

 調査は医療、介護の3976事業所、紹介会社600社などを対象に6~7月に実施。医療機関964件、介護機関574件、紹介会社158件などから有効回答を得た。

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