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2020年6月 5日

「派遣社員の雇用維持に注力」 コロナ禍で業界2団体が加藤厚労相に報告

 新型コロナウイルスの感染対策下で派遣社員の雇用に不安が広がっていることを受け、加藤勝信厚労相と派遣事業者2団体の代表が5日、厚労省大臣室で会談した。事業者団体は、派遣先の理解を得ながら契約の維持と継続に努め、継続に至らなかった場合でも新たな就業先や教育・研修機会の提供に注力している現状を報告。加藤厚労相=写真右=は、事業者に一層の努力を求めた。

n200605.jpg 大臣室を訪れたのは、日本人材派遣協会(派遣協)の田﨑博道会長と阪本耕治副会長、日本生産技能労務協会(技能協)の青木秀登会長と清水竜一副理事長の4氏。5月26日付で、加藤厚労相が事業者団体や経済団体に「派遣社員の就業確保」を要請しており、これを踏まえて2団体が業界として取り組み状況を報告した。

 派遣協と技能協は、雇用維持の対応として(1)派遣社員のテレワーク導入を促進(2)コロナ禍によって契約に至らなかった派遣社員に新たな就業先を優先的に提供(3)一時的な休業の実施や教育・研修機会の提供(4)必要に応じて政府の助成金の活用――などを展開していると説明。そのうえで、「派遣先としっかり協力して、派遣社員の雇用維持をはかっていきたい」と強調した。加藤厚労相は「派遣法の雇用安定措置義務を適切に果たすなど、雇用維持に全力を尽くしてほしい」と述べた。

 厚労省のコロナ禍に伴う雇用への影響調査によると、全国の労働局やハローワークを通じた5月29日までの集計分で、雇用調整の可能性のある企業は3万214事業所、解雇などが見込まれる労働者は1万6723人。5月下旬から急速に増えており、解雇の見込みが予想される非正規労働者は5月25日以降で2366人に上っている。

 業種別では製造業が6298事業所で最も多く、飲食業が4760事業所、小売業が3028事業所など。解雇見込み労働者では宿泊業が3702人で最も多く、道路旅客運送業が2287人と続いている。


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