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2021年5月11日

有識者と業界団体からヒアリング、厚労省の雇用仲介研究会 今夏の報告書に向け「議論整理」

 厚生労働省の有識者会議「労働市場における雇用仲介の在り方に関する研究会」(鎌田耕一座長)は11日、第12回会合を開き、デジタル社会における個人情報保護法に詳しい有識者と、人材サービス関連の業界団体からヒアリングを実施した=写真。また、今夏をメドとする報告書の取りまとめに向け、事務局の厚労省がこれまでの議論を踏まえた「議論の整理案」を提示し、概ね了承された。求人メディアの「新形態サービス」や、職業紹介に近いオプションを持つ募集情報提供に対する法的位置づけ、業界団体の役割強化などを焦点に、職業安定法の改正につながる同研究会の議論は佳境に入る。

n210511.jpg 同研究会は、新しい時代に対応した労働市場の整備と就労マッチングサービス発展の観点から、これからの雇用仲介制度のあり方を検討している。具体的には(1)IT化等による新しい事業モデル・サービスに対応した制度のあり方(2)有料職業紹介事業及び募集情報等提供事業(求人メディア)をより適正かつ効果的に運営するための制度のあり方(3)働き方や職業キャリアの在り方が多様化する中で、需要サイドと供給サイド双方にとって機能的な労働市場を実現するための制度や官民連携のあり方――の3つを検討課題に掲げ、今年1月から精力的に会合を重ねている。

 この日のヒアリングに招かれた中央大国際情報学部の小向太郎教授は、改正や見直しが続く個人情報保護制度について、これまでの変遷や欧米との比較、職業安定法とのかかわりに関する要所を分かりやすく解説。人材サービス関連の業界5団体による横断的組織・人材サービス産業協議会(JHR)は、「進化するテクノロジーを委縮することなく適切に活用し、多様化する求職者・求人者のニーズに応えて良質なマッチングに努める」との基本姿勢から、6つの論点にまとめて現状説明や提言を行った。

 この論点のうち、「雇用仲介事業者が多種多様となっている現状に対する業界団体としての認識と業界団体の役割」では、テクノロジーの活用で求職者が未経験の職種や業種、成長産業、地方、中小企業などへの応募につながるケースを紹介する一方、「外形的には既存の許可事業との違いがわかりづらいものもあり、行政見解を伺いたいサービスも存在する」と課題を指摘した。

 また、厚労省が提示した「議論の整理案」は、前提となる「基本的考え方」を示したうえで、(1)労働市場の整備(2)人材サービスの整理(3)求職者保護(4)人材サービスの役割――の4項目に整理。具体的に、(1)では「情報の的確性」「職業情報・募集情報の共通フォーマットの整備」「公共の役割」、(2)は「法的な区分」「新しいサービスの把握」、(3)は「個人情報の保護」「求職者の特徴・保護」「雇用以外の仲介について」、(4)は「人材サービスの役割」「業界団体の役割」――を盛り込んだ。

 この日の会合のやり取りでは...


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