雇用仲介事業者が求職者に金品を提供して転職を促す行為に歯止めをかけるため、労働政策審議会の職業安定分科会(山川隆一分科会長)は27日、厚生労働省が提示した職業安定法の改正省令案要綱などを「妥当」と了承・答申した=写真。今月17日の労政審労働力需給制度部会の判断を支持したもので、職業紹介事業者をはじめ、新たに適用対象となる募集情報等提供事業者(求人メディア)への周知徹底を求めた。10月中に交付し、来年4月1日施行となる運びだ。
主な改正のポイントは、「法令順守徹底のためのルールと施行の強化」として、(1)お祝い金・転職勧奨禁止を職業紹介事業の許可条件に加える(違反が継続・反復する場合は許可取り消しの対象)、(2)募集情報等提供事業(労働者の登録から就職・定着までの全ての過程)に対しても職業紹介事業と同様の禁止規定を設ける。これらは、医療・介護・保育の3分野を含む事業全体に対する措置となる。
また、「お祝い金」に該当しないケースも新たに整理。(1)提供するサービスの質の向上を図るため、サービス利用者からアンケートへの回答を求める場合に抽選による少数者に対して500円程度の電子ギフト券等を提供、(2)イベント来場者を確保するため、転職フェアへの来場及びブース訪問者に500円程度の電子ギフト券等を提供――を挙げた。
「雇用仲介事業の更なる見える化」の視点からは、(1)職業紹介事業者の手数料実績の公開義務化(省令改正で職種ごとの常用就職に係る平均手数料率の実績を人材サービス総合サイトに開示するよう規定)。ただし、各事業者の取り扱い上位5職種に限るほか、定額制の事業者は率に代えて額を開示、(2)募集情報等提供事業者の利用料金・違約金規約の明示義務化。違約金規約の明示は職業紹介事業者にも求める。これらも医療・介護・保育の3分野を含む事業全体に対する措置とする。
「ハローワークの機能強化」については、医療・介護・保育分野での人材確保を支援する専門窓口の体制整備、ハローワークインターネットサービスの操作性の改善などオンラインサービスの充実、求人充足と職場定着のための雇用管理改善の支援などを実施する。これは、医療・介護・保育の3分野が中心となる。
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