パートタイム・有期雇用労働法と労働者派遣法の見直し議論を展開している労働政策審議会「同一労働同一賃金部会」(小畑史子部会長)が25日開かれた=写真。この日は、派遣法20年改正に集中して総点検を展開。公労使ともに一定の政策的効果を認めたうえで、労働者側委員は「改正の目的が果たされているかの基本に立って検証と必要な見直しを図るべき」と主張し、使用者側は「労使の真摯な取り組みによって賃金を含む待遇改善が進んでおり、今後は手続きや運用などの実務が重要」と強調した。派遣法20年改正は、同一労働同一賃金の理念や均等・均衡待遇の仕組みを派遣労働・派遣事業に落とし込む際に制度設計が複雑化したほか、施行までの期間が窮屈だったこともあって、公労使があらためて施行状況を見渡しながらそれぞれの視点から活発な議論を繰り広げた。
施行5年に伴う「同一部会」は2月からスタートしており、(1)改正後のパート・有期法と派遣法の「均等・均衡待遇規定」(2)同一労働同一賃金ガイドライン(3)非正規雇用労働者に対する支援(正社員転換等のキャリアアップ、無期雇用フルタイム労働者への同一労働同一賃金ガイドラインの考え方の波及)――の3点を軸に検討。前回(5月21日)の部会では、パート・有期法について集中審議している。
この日、厚生労働省が示した派遣法20年改正の論点は、「労使の取り組み促進」として(1)均等・均衡待遇(2)労働者に対する待遇に関する説明義務(3)その他の労使の取り組み促進のための方策 ――の3項目。(3)については更に(ア)公正な評価(イ)未経験者の登用拡大、従事する業務の高度化(ウ) 派遣労働者の意見の反映(エ)情報公表の促進――を点検。また、「行政による履行確保」の観点も加えた。
派遣労働者の賃金や待遇については、原則とする「派遣先均等・均衡」(派遣先方式)か「派遣元による労使協定」(労使協定方式)のいずれかの待遇決定方式を義務化。この選択制2方式のうち、「労使協定方式」を採用した場合には、局長通達の一般賃金水準より「同等以上」であることが要件となり、一般賃金水準は「職業安定業務統計」(ハローワーク統計)と「賃金構造基本統計調査」(賃構統計)の2種類をベースに算出されている。この日の議論では、この選択制2方式と賃金水準のあり方や待遇に関する説明義務を巡って...
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