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2026年5月21日

小岩広宣社労士の「人材サービスと労務の視点」328・日本の雇用者数の動向と採用

Q 少子高齢化や人手不足の中で、昨年日本の雇用者数が過去最高を記録したと聞きましたが、実際にはどうなのでしょうか。

koiwa24.png 日本の雇用者数などの統計調査については、総務省統計局による労働力調査が実施され、毎月公表される統計データに基づいて、わが国の就業・不就業の状況の把握や景気判断、雇用対策などの基礎資料として利用されています。

総務省統計局「労働力調査」

 労働力調査によると、日本の雇用者数は2025年11月に5878万人となり、過去最高を記録しています。かつてのバブル期やアベノミクス景気なども含めて、雇用者数がこの水準に達したことはありません。少子化や高齢化に拍車がかかり、人手不足や景況の不透明感が広がる中で、一般的には雇用者数がかつてないほど増えたという実感は得られにくく、多くのメディアなどでもそれほど大きく取り上げられなかったこともあり、意外に思われる人も少なくないかもしれません。

 生産年齢人口(15~64歳)は減り続けており、1995年の8716万人をピークに、2025年には7085万人まで減少しています。生産年齢人口が30年間で約1600万人減っているにも関わらず、雇用者数が過去最高にまで増加している背景には、高齢者の就業者数の増加と主婦パートの増加が大きく働いていると考えられます。従来は雇用参加が少なかった高齢者や主婦層が完全就業の状況に近づく中で、今まで基幹人材と見なされた層の減少を数字上は補って余りある構図にあるのが、日本の雇用環境だといえます。

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独立行政法人労働政策研究・研修機構ホームページより

 採用現場における人手不足感は深刻さをきわめており、今では規模や業種業態を問わず共通の経営課題になっているといえます。一方で、新卒採用、即戦力採用、従来型の基幹人材への期待やニーズが相変わらず根強いことも否めず、高齢者や主婦層の雇用者が大幅に増加している中で、雇用をめぐるミスマッチにも拍車がかかっているといえます。

 どのような属性の人材をどのように採用して配置するかは難易度の高い課題であり、経験知の蓄積や周囲の理解共有なども広範に求められると考えられますが、大局的な時代の変遷なども考慮に入れつつ、タブーなく柔軟な発想や判断を折り込んで、現実の課題に向き合っていきたいものです。

(小岩 広宣/社会保険労務士法人ナデック 代表社員)

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