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2025年12月 8日

実質賃金、10カ月連続の長期マイナス やっと「物価高対策」、毎勤10月速報

 厚生労働省が8日発表した毎月勤労統計調査の10月速報値(従業員5人以上)によると、労働者1人あたり現金給与総額は30万141円(前年同月比2.6%増)で46カ月連続のプラスとなった。しかし、物価上昇分を差し引いた実質賃金指数(20年=100、持ち家の帰属家賃を除く)は82.0(同0.7%減)となり、1月から10カ月連続のマイナスになった。政治空白に起因する政府の「物価高対策」の遅れが大きな要因となっている。

 給与額のうち、基本給などの所定内給与は27万1663円(同2.6%増)で、特別給与も7982円(同6.7%増)と名目賃金は増え続けているが、総額では依然として物価上昇に追い付いていない。雇用形態別の総額は、正社員が中心の一般労働者が38万4151円(同2.7%増)、パートタイム労働者も11万2283円(同2.2%増)といずれも伸びた。

 産業別で大きく伸びたのは、「金融、保険業」の44万7261円(同9.9%増)、「生活関連サービス等」の23万1464円(同9.6%増)などで、「運輸、郵便業」の33万1009円(同1.3%減)など、16産業のうち2産業でマイナスとなった。

 月間総実労働時間は140.0時間(同0.0%)。月末の常用労働者数は5177.8万人(同1.3%増)で、パートタイム比率は30.98%(同0.02ポイント減)だった。

 政府は物価高対策を中心とした18兆円余の補正予算案をようやく国会提出したが、効果が出始めるのは年明けになることが確実で、その間にも国民生活の質低下がさらに進みそうだ。

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