コラム記事一覧へ

2017年9月26日

【書評&時事コラム】『サイコパス』

反社会的性格者の脳の中身は?

c170926.jpg著者・中野 信子
文春新書、定価780円+税

 

 「サイコパス」という、日本ではまだあまり知られていない概念を、気鋭の脳科学者が解説した。日本語では「精神病質」と訳され、主に犯罪関連で使われるが、「連続殺人犯など反社会的な人格を説明するために開発された診断上の概念」という。

 というと、日本でも神戸連続児童殺傷事件(1997年)、名古屋大学女子学生殺人事件(2014年)、相模原障害者施設殺傷事件(16年)など、近年起きた事件の特異な犯人像を容易に思い浮かべることができる。しかし、著者によれば、サイコパスはもっと我々に身近な性格で、犯罪者に限らず通常人にも100人に1人ぐらいはいると推定されるそうだ。

 本書では、主に脳科学の分野からサイコパスの性格的特徴を詳細に分析しているが、統計データや事例集は米国などの研究者によるものがほとんどで、日本での研究事例の紹介はないこともあって、読んでいてもいまひとつピンと来ないのが残念だ。

 加えて、本書の内容以上に、表紙帯などのキャッチフレーズがテレビドラマ並みの安っぽさを感じさせ、サイコパスの正確な理解にとっては、むしろマイナスではないかと思われる。(俊)

PAGETOP