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2017年12月 5日

【書評&時事コラム】『未来の年表』

このまま人口が減ると日本は消滅?

c171206.jpg著者・河合雅司
講談社現代新書、定価760円+税

 

 少子高齢化と人口減少が急ピッチで進む日本に対する警鐘という意味では、本書などはその最右翼に位置するものであろう。表紙からもわかるように、人口減による未来予想図が年表スタイルで細かく記述されているが、どれも悲観的な予想ばかりだ。

 本書がユニークなのは、2017年から65年まで、「国立大学が倒産の危機」「東京都も人口減少へ」「輸血用血液が不足」「外国人が無人の国土を占拠」など、ドキッとするような話を統計データから推測していること。それだけ人口減の衝撃が大きいことを強調するには十分だが、「日本の人口はやがて2000人に」とまでマジメに書かれては、いささか鼻白む。

 また、人口減対策としての生産性向上やAI活用などを「ピントはずれの楽観論」と切り捨て、「人口減のピンチをチャンスに」などの主張も「気休め」と断じるが、なぜ「ピントはずれで気休め」なのか、十分な説明をしているとも言い難い。

 そして、後半の「日本を救う10の処方箋」になると、「戦略的に縮む」ことを主眼に、「高齢者の定義変更」「24時間社会からの脱却」「国際分業の徹底」「中高年の地方移住推進」などを提言している。が、これらの多くはすでに議論され、一部は実施されている。前半の「人口減少カレンダー」に比べると、かなり常識的な内容に落ち着く。「人口減対策に奇策なし」ということなのだろう。(俊)

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