共同体型組織の終焉とその先
著者・太田 肇
集英社、定価1012円(税込)
ジャニーズ・宝塚歌劇団・日大アメフト部・ビッグモーター・フジテレビほか、巨大組織が崩壊するような事件が続く現象を直視し、「日本の組織に共通する決定的な弱点をあぶり出す」と著者は意気込む。
一連のスキャンダルを、絶対君主型・官僚型・伝統墨守型の3タイプに整理したうえで、目的集団であるはずの組織が、ムラのような運用をしてしまう「共同体型組織」を形成してるところに病巣があると見立てる。かつての共同体は、メンバーを受け入れ助け合う「受容」と各自が自主的に貢献する「自治」の両輪を強みとしたが、今は自治が機能せず、「何もしないほうが得だ」という集団的無責任に陥ったと読み解いていく。
直近の不祥事は、内向き組織の特殊性がグローバル化とデジタル化によって顕在化したものだと分析しつつ、犯人を血祭りに挙げるだけでは崩壊の連鎖は止まらないと言い添える。組織の「再生」ではなく「新生」を求め、人材の囲い込みではなく、個々の活躍をサポートしていく「インフラ型組織」によるマネジメントを提唱している。
(久島豊樹/HRM Magazine より)