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2018年2月27日

【書評&時事コラム】『世界一孤独な日本のオジサン』

孤独は寿命を縮める最大リスク

c180227.jpg著者・岡本 純子
角川新書、定価820円+税

 

 超高齢社会の病気の元になる最も危険な因子は肥満ではなく、酒でもたばこでもない。それは「孤独」であり、日本の場合は男性が最もリスキーだ。本書はその理由について、豊富な取材と文献を基に解説している。

 国連やOECDなどの国際調査によると、世界3位の経済大国である日本人の幸福度はかなり低い。とりわけ、高齢男性の幸福度は「世界一」低く、「切れる高齢者」「クレーマーおじさん」などの話題にはコト欠かない。

 どうやら、これは「会社人間」を作り上げた終身雇用制度に根っこがあり、「男は黙って…」という高倉健のような男性像を理想にしてきたことと無縁ではなさそうだ。「おじさんウオッチャー」を自認する著者は、そんな例を幾つも挙げ、コミュニケーション能力でははるかに上を行く女性と比較対比している。

 新聞記者出身の著者の文章は、とてもわかりやく、明快だ。「余計なお世話」と反発するおじさんも多いと思うが、「孤独は寿命を縮めますよ」と言われれば、心中、穏やかではいられまい。なにせ、おじさんたちの会話は健康診断結果と孫自慢以外はほとんどないのだから。(俊) 

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