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2014年7月19日

【この1冊】『若者は本当にお金がないのか?』

修正される現代若者のイメージ

c140719.jpg著者・久我 尚子
光文社新書、定価820円+税

 

 現代の若者は何を考えているのだろうか。ワーキングプアが続出していると耳にするが、一方でクルマにもブランド品にも興味がなさそう。おまけに、いい歳になっても結婚する気さえないようだ。首をひねる年配の方々も少なくない。

 本書は、各種の関連統計に詳細な分析を加え、そんな若者像をくっきりと浮かび上がらせている。彼らは実はお金を持っており、今の生活にもそこそこ満足している。しかし、年金、介護など将来については不安感を抱いている。結婚願望はかなり強いが、意外にも出会いに恵まれず、結婚できるかできないかの分岐点になる「年収300万円の壁」は存在した――。一般的なイメージとは違う部分、ほぼ同じ部分がそれぞれ“立証”されている。

 本書は若者像の分析と同時に、統計データの正しい読み解き方も合わせて解説しており、内容はかなり厳密な論文調。タイトルから想像させるような軽いお話ではない。政府の統計委員会委員も務める、プロによる「統計入門」の性格も合わせ持つ一1冊。

 著者には、本書と同様の分析を通じて「高齢者は本当にお金持ちか?」「非正規雇用は本当に悪いのか?」「日本は本当にダメになったのか?」など、メディアによって作り上げられた誤ったイメージをくつがえす統計分析のシリーズ化を望みたい。 (のり)

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