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2014年8月 9日

【この1冊】『ネグリ、日本と向き合う』

欧州の左翼系知識人と日本の知識人の応答集

c140809.png著者・アントニオ・ネグリ
訳者・市田良彦、伊藤守、上野千鶴子、大澤真幸、姜尚中、白井聡、毛利嘉孝、三浦信孝
NHK出版新書、定価820円+税

 

 欧州イタリアの代表的な左翼系知識人、アントニオ・ネグリが2013年に来日した時の講演と、講演に対する日本の知識人の応答集。

 ネグリの講演テーマは①「東アジアの中の日本」と向き合う、②「3・11後の日本」と向き合う、③「原発危機からアベノミックスまで「日本の現在」と向き合う、という興味深い内容だが、これに対する日本側知識人の応答も興味深い。

 中でも、社会学者の大澤真幸の「絶対的民主主義への道はどこに?」は、ソ連崩壊後、ほとんど発言しなくなってしまった左翼系知識人の最近の議論を包括的に解説している点が興味をそそる。

 ネグリは「人々が他者によって支配されず、自己支配している状態、あるいはそもそも支配がない社会状態」を絶対的民主主義と呼び、そこにある種の理想社会を設定しているのだが、大澤は「そこに至る道はどこにあるのか」と鋭く問い掛けている。

 現在の日本では、知識人の議論の大半が保守的右翼の言説一色に染め上げられている感があるが、たまにはこうした書に接することで、世界にはまだまだ多様な意見が存在していることを知るのも意味がある。 (酒)

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