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2015年11月21日

【この1冊】『お寺の収支報告書』

お寺が堕落した理由がわかる本

c151121.jpg著者・橋本 英樹
祥伝社新書、定価800円+税

 

 お布施、戒名料、墓地、墓石など、身内の葬式や墓参りなどに掛かるお金って、どうやって決まるのか。多くの人は悲しみに沈んでいることもあって、お寺や葬儀会社に言われるままに支払っているのが実態ではないだろうか。本書は、そんな“利用者”に対して、お寺の実態を主に金銭面から解説した異例の書。1年前の出版だが、著者が現役の住職という点でも話題を集めた。

 本書では、お寺の収入と支出がどのような構造になっているか、詳細に解説している。檀家にすれば、お布施にしても各種寄付にしても“相場”が気になるが、建前上はない。実は、そこにお寺の収支の秘密があるという。

 また、宗教活動に掛かるお寺の収入は非課税だが、それを隠れミノにした“節税”行為が横行しており、「坊主丸もうけ」と揶揄(やゆ)される要因についても詳しく述べている。堕落したお寺に対する痛烈な内部告発でもある。評者は7月11日の本欄で『寺院消滅~失われる"地方"と"宗教"』を紹介したが、衰退が過疎化という外部要因だけでなく、お寺自身の努力不足という内部要因もあることがわかる。同時に、この問題提起を通じて、宗教の本質を考えさせる内容になっている点も見逃せない。

 長年続いたお寺の悪習に挑戦しようと、著者は自分の寺の檀家制度の廃止に踏み切って賛否を集めた。改革の方向性の是非を巡ってまた賛否を呼ぶなど、今や宗派を超えて目が離せない存在になっているようだ。日ごろ、お寺の“料金”に疑問を持っている人には持って来いの1冊。(のり)

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